強豪、四日市メリノール学院に加入した元Wリーガーの粟津雪乃コーチ「メリノールに来て良かったと思えるサポートを」
稲垣コーチ「スター街道をずっと歩んできた訳でないからこそ、苦しんでいる子の気持ちも分かる」
恩師である稲垣ヘッドコーチは、粟津コーチについて次のように期待を寄せている。「(179cmであり)留学生役もやってくれますし、子供たちに細かいアドバイスもできます。そしてケガで苦しんだ子でした。スター街道をずっと歩んできた訳でないからこそ、同じように苦しんでいる子の気持ちも分かる。メンタルサポートもやってくれて非常に助かっています。そういう意味でも彼女の存在は大きいと思います」 そして、粟津コーチも自身が故障で辛い思いをした経験を、サポートに生かしたいと強く意識している。「今はケガをする子も多いです。自分は故障による長期離脱を2回経験して、後ろ向きな気持ちになって何回も辞めたいと思ったことがありました。だからこそ、ケガをした選手が少しでも前向きになれる手助けをしたい。最後、メリノールに来て良かったと思えるサポートができればと思います」 今の彼女は、自身をコーチというより、「みんなのお姉さんというか、子供たちよりちょっとバスケットを知っていることが多い分、それを教えてあげられたらという意識です」と捉えている。そして、稲垣ヘッドコーチが大切にする『勝ち負けではなくて、良い顔で終わる』という彼女が中学生だった時と変わらない教えを1人でも多くの選手が体現し、「コーチの求めていることを最後に出し切れるように押し上げていきたい」と考えている。 そして、新しいキャリアの1年を終えた率直な思いをこう語る。「新しい一年でしたけど、羽田にいた時の先輩とかいろんな人が『見ていたよとか、すごかったね』と声を掛けてくれました。その時に自分の選択は間違っていなかった、ここでやってきて良かったというのはあらためて思いました」 主力として高校三冠を経験する一方、高卒からのWリーグ入りも故障で挫折。その後、短大を経てのWリーグに再加入など、現役時代の粟津コーチは山あり谷ありのキャリアだった。だからこそ、いろいろなタイプの選手に寄り添える指導者になれる資質を彼女は備えている。稲垣ヘッドコーチとの師弟コンビで四日市メリノール学院のさらなる進化に貢献するはずだ。
鈴木栄一