訪日客増加に立ちはだかる問題、作業員不足で空港の燃料供給が困窮
(ブルームバーグ): コロナ禍以降、日本を旅行する外国人観光客は増加の一途をたどっているが、ここにきて航空機で使われるジェット燃料の供給体制が空港に整っていないことが懸念され始めている。
この問題に関連してENEOSホールディングスの広報担当者はブルームバーグの電話取材に、航空会社から燃料供給を増やすよう要請を受けていることを認めた。燃料の確保に向けて、経済産業省や国土交通省とも協力しているという。ただ、空港内の作業員不足など、さまざまな側面で物流体制を見直す必要もあると話した。
米ドルを含めて対円で通貨高にある国の人々にとって、日本は手ごろな旅行先だ。3月には訪日外客数が308万人と、単月で初めて300万人を超えた。ホテルやレストラン、小売業などインバウンド業界には準備を整えるために強いプレッシャーがかかる。
ブルームバーグNEFのまとめによると、海外旅行する人が増えることでジェット燃料の消費量も急増が見込まれ、今年はアジア発の国際線が前年比で23%増になると予想されている。同地域の精製業者にとっては悩ましい問題で、ディーゼルやガソリンといった他の燃料の利益率が落ちている中、全体の処理率を大きく引き上げることに積極的になりにくい。
人類は再び空の旅を楽しむ-燃料消費、新型コロナ禍前の水準に戻る
斎藤健経産相は11日の閣議後会見で、ジェット燃料の供給が不透明なために一部の海外航空会社が日本への増便計画を中止せざるを得なくなった事実を認めた。ジェット燃料の必要量は確保できているのに、国内のタンカーや空港での給油を巡る問題があると述べた。
大韓航空と格安航空会社(LCC)のティーウェイ航空は、7-8月にも北海道の帯広空港への就航を計画していたが、5月に断念したとNHKが4日、帯広市の情報を基に報じた。日本で4月、時間外労働の規制が強化されたことで、燃料を運ぶタンカーの船員不足などが背景にあるという。