恩師の退任発表に揺れた川崎F小林悠「もっとゴールを決めていれば…違う流れになったのかな」
[10.18 J1第34節 川崎F 1-1 G大阪 U等々力] 14年間の思いがあふれた。川崎フロンターレFW小林悠は、鬼木達監督の今季退任発表後最初の試合で結果を残した。試合後には指揮官から「やっぱり悠が決めてくれたな」と言われたという。「それはちょっと堪えられなかった。やっぱりもう1点取って勝たせたかった」と悔しさもにじませた。 【写真】伊東純也ら欧州組9選手の秋冬コーデに大反響「黒髪もステキ」「これはずるい」「まじ俳優レベル」 川崎Fは後半23分に4枚替え。鬼木監督は4枚のカードを使用した意図を「メッセージとして強いものになると思った」と語る。「エネルギーを分散せずにクオリティが上がっていく。そういうことなんだろうと選手も把握すると思って送り出した」。小林も含め、交代選手が指揮官の期待に応えた。 後半36分、後方からのロングボールに絡んだのは交代3選手。MF家長昭博が前線で胸トラップからPA左にスルーパス。FW遠野大弥がクロスを上げた。 「アキくんと大弥が崩してくれたので、最後は自分が点を取れる場所に入っていこうと。普通に競ったら勝てないので、先に飛ぶことを意識した」(小林)。相手守備陣より頭ひとつ飛び出し、高い打点からのヘディングシュートを叩きつけた。「大弥も予想通りのボールをくれた。しっかり決められてよかった」と手応えを口にした。 小林が川崎Fに加入した2010年から、鬼木監督もトップチームのコーチとしてチームに参加。指導者と選手の間柄ながら、小林はその関係性を「同期」という言葉で表した。「試合に出られない残り組の練習とかでも声をかけてくれた。出れない時期が続いて悔しいときも、励ます言葉をくれた。コーチ時代から本当に人間性がすごかった」と振り返った。 だからこそ、退任発表は衝撃だった。小林は自らに責任を求めた。「正直、自分が今シーズンゴールを決めていれば違う展開になったのかなとか。ゴール数が少なかったので、もっと勝利に貢献していればまた違う流れになったのかなとか色々」。試合前にも迷いは生じたという。 「おととい発表があって力が入らない感じ。試合が始まるときに自分が出て大丈夫かなってくらい。それくらい自分にとって大きい存在だった」 ゴールは決められたが、勝利をもたらすことはできなかった。その悔しさがもう一度小林を奮い立たせる。「残りの試合、やる試合をしっかり噛みしめながらゴールする姿を見せられれば」。感謝を示すためにも、再びゴールネットを揺らす決意を語った。