かじ滑り、部材交換が影響か 保津川下り転覆事故で報告書
京都府亀岡市の桂川(通称保津川)で昨年3月、観光客向け川下りの舟が転覆し船頭2人が死亡した事故で、運輸安全委員会は26日、船尾の船頭がかじを空振りして川に落ち、操舵不能になったとする調査報告書を公表した。かじを船体に取り付ける「かじ緒」とよばれる部材を昨年1月以降は樹脂製に交換しており、かじの動きがスムーズになる一方、摩擦が減って滑りやすく、本来の位置からずれた可能性があると指摘した。 報告書によると、死亡した船頭2人のうち1人は、手動で膨らむ救命胴衣を着ていたが膨張させていなかった。もう1人は救命胴衣を着用していなかった。運航する保津川遊船企業組合が各船に無線を搭載しておらず、救助要請に時間がかかったほか、救助訓練が7年間実施されていない問題も判明した。 安全委は再発防止策として、船頭の落水やかじのずれの防止、救命胴衣の着用徹底、運航休止基準の見直しなどが必要とした。組合はこれらを既に実施している。
事故は昨年3月28日に発生。船頭4人中2人が死亡し、乗客25人中19人が負傷した。