【10年ひと昔の新車】ホンダ Nボックス+の天才的ユーティリティには脱帽ものだった
ホンダ Nボックス+(2012年:ニューモデル)
「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、ホンダ Nボックス+だ。 【写真はこちら】こちらはNAのカスタムG Lパッケージ。実燃費向上を狙ったセッティングで、街乗り使用が中心ならこちらでも十分だろう。(全9枚)
ホンダ得意のセンタータンクレイアウトと低床プラットフォーム技術を使った軽自動車、Nボックス。その人気は爆発的で、2012年の4~6月は軽自動車の販売台数ナンバー1を快走中だ。そのNボックスを立ち上げる際に、じつは本当に作りたかったのはこちらだったという話もある〝Nボックス+(以下、プラス)〞を、乗って使って、その才能を確かめてみた。 Nボックスは、センタータンクレイアウトの利点である後部座席位置の自由度の高さを生かした、後席の余裕が自慢だ。床の低さを最大限に生かすために、後席にあえてスライド機構をたせていないことも特徴だったが、プラスでは後部座席位置をフィット同等のひざまわりスペースが確保できるところまで前に出し、座席後方のスペースを広いラゲッジスペースとしている。そしラゲッジフロアを斜めにした。 この斜め床こそが、プラスのイチオシ ポイントだ。「マルチボード」と名付けられた棚板とシートアレンジによって、目的に合わせていろいろなスペースを作り出せる。後席をたためばリアゲートから車椅子に人を載せたまま乗り降りできるから、福祉車両としても使える。少子高齢化が進む今、普通のクルマとしても、福祉車両としても、ガマンすることなく楽しめるNボックス+は、まさにクルマ界のブレイクスルーを果たしたと言えるだろう。 画像: 写真では少し分かりにくいが、ラゲッジスペースの床板はテールゲートに向かって低くなっており、荷物を積みおろししやすい。 だが、そんな風にいろいろな使い方ができる・・・となると、必然的に載せる荷物は重くなりがち。そこでプラスには、カスタムだけでなく、標準車にもターボモデルが設定されている。これは正解だ。元々Nボックスから、ターボをメインに開発したのでは?と思えるくらい走りとパワーのバランスが取れていた。さらにNボックス カスタムのターボパッケージと比較すると、プラスの標準車のターボパッケージは30kg重い。この重量増分も含めて考えれば、ターボは必須と言えるだろう。 このターボエンジン+CVTの組み合わせは、低回転域から粘り強いトルクが発揮され、街乗りではキビキビ感があるし、高速道路でのロングツーリングも余裕を持って楽しめる。クルーズコントロールも装備され、家族揃って遠出するにはぴったりだ。また、ホビー色が強いクルマでもあり、キャンプ地などで使おうと思っているユーザーも多いはず。その場合は4WDを選びたい。ちなみに4WDでも特徴的な斜めの床は健在。ラゲッジスペースがスポイルされることはない。これも最初から「Nボックス+ありき」で、開発を行ってきた恩恵のひとつだ。