今季のビッグトレンド、"ゴープコア”スタイル解剖 vol.1 ── ベスト編
この春夏も、ゴープコア・スタイルの人気は継続中だ。全4回にわたり、トレンドを踏まえつつキーワード別にスタイリングを提案する。第1回のキーワードは「ベスト」。とりわけ、アウトドアブランドのものは、近年流行しているレイヤードスタイルの軸となっており、ゴープコアを構築する際も不可欠なアイテムとなっている。 【写真の記事を読む】スタイリングとアイテムをチェック
今回のスタイリングを担当した飯垣祥大によると「ゴープコア・スタイルとは、スペックの高いアウトドアアイテムやムードを、デイリーに取り入れた実用性に長けたファッションのことです。色使いはモノトーンやアースカラーをベースにした着こなしが主流で、単に機能性を重視したスタイルでなく、スタイリッシュさを追求する点が魅力。あくまでストリートウェア感覚で取り入れることが大事です」という。 ちなみに「ゴープ(GORP)」とは、ハイキングやトレッキングの際に携行する栄養価の高いアウトドアスナック「Good Old Raisins and Peanuts」の頭文字をとった略語だ。ゴープコアは、「ノームコア」などと同じく、「ハードコア(hardcore)=突き詰めた」の「コア」と「ゴープ」を合成した造語である。 以下、これらの要素を踏まえたスタイリングを紹介する。 全体をアースカラーでまとめつつ、ゴープコアの象徴的アイテムである機能性の高いベストを主役にした着こなし。フィッシングベストなど多くの種類がある中、特に人気を博しているのがこのランニングベストだ。機能的でありレイヤードに最適、なおかつ着こなしのアクセントにもなりうる。半袖ナイロンシャツには、ワイドなカードパンツを合わせて上下のサイズでメリハリをつけるのもゴープコアの特徴。ハイブランドのサングラスも、あえてスポーティなものをセレクトしている。 ミレーの「トリロジー スカイ ベスト」は、ランニングに特化した最小容量のランニングパック。メインの生地にはストレッチダイニーマ®を使用し、優れた耐久&圧縮性を実現しているのが特徴。 パッチポケットにあしらったスクエアなロゴが目をひく、ギャップのベーシックなカーキの半袖シャツは、適度にリラックス感のあるシルエット。同色のスナップボタンや滑らかな質感のナイロン生地などから、適度にテック感を感じる。 オーガニックコットン仕様のブラウンカーゴパンツは、イギリス軍のオーバーパンツをリデザイン。シリコンを用いた特殊な加工を施すことでシャリ感を残しつつ、綿素材らしくないテック風のタッチを実現している。 スクエアなレンズと、シルバーをベースにしたスケルトンフレームが、スポーティーでありながら、どこかモードなムードを演出する。絶妙に醸す90年代テイストも、ハイブランドならではのデザインだ。 スニーカートレンドを牽引するアシックスの「GT-2160」は、2010年にリリースされた、GT-2000シリーズに見られる美しく流れるアッパーデザインをモダンにアップデートした一足。メッシュアッパーを筆頭に、メタリックな色使いなど、ゴープコアスタイルにマッチする。 写真・長尾大吾 スタイリング・飯垣祥大 文・オオサワ系