中田敦彦、これまでの歩みを通して培ったプレゼン力で報道番組へ臨む「私にとってのM-1ですよ」<報道の日2024>
2024年12月29日(日)、TBS系にて放送される報道特別番組「報道の日2024」(朝9:54-昼4:30)。今回は「“テレビ報道70年”8つの禁断ニュース」をテーマに、現在の社会や世相に大きな影響を与えたニュースの真相に約6時間半にわたり迫っていく。 【写真】「報道の日2024」でMCを務める(左から)井上貴博アナ、膳場貴子、中田敦彦 MCを務めるのは膳場貴子、井上貴博アナウンサー、そしてオリエンタルラジオ・中田敦彦の3人。時事ネタを扱ったYouTubeチャンネルで登録者数540万人を超える中田が、今回満を持して報道番組MCに初挑戦。番組でもニュースの背景を独自の目線で解説していく。 WEBザテレビジョンでは、放送に先がけて中田にインタビューを敢行。報道番組MCというオファーを受けた際の感想や、現在海外に在住しているからこそ感じる日本の特異性、そして現在のテレビ界やお笑いに対する思いなどを語ってもらった。 ■「テレビの持つアーカイブ映像はYouTuberには伝え得ないもの」 ――共に番組MCを務められる膳場さん、井上アナとは先日お会いしたそうですが、お二人の印象はいかがでしたか。 膳場さんとは初めましてだったので、「どんな空気感かな?」と思ったんですが、非常に優しく受け入れていただいて、インタビューもしていただきました。 実は膳場さんが「NEWS23」を担当されていた当時、私がデビュー当初にTBSでやっていた「オビラジR」(2006~2009年)という番組を、放送終わりのメーク室のモニターなどでよく見ていたそうなんです。若手の頃の自分を見られていたと思うと恥ずかしくて…(笑)。 井上さんとは「ビビット」(2015~2018年)で共演していて。当時はまだ30代前半で、「お互いこれから頑張りましょう」と番組終わりに食事に行っていた仲だったので、そんな励まし合っていた井上さんと、若手の頃から見守っていただいた膳場さんとで、非常にいい空気で番組ができそうだなと思いました。 ――報道番組へのご出演は今回が初めてとのことですが、今回のオファーを聞かれた際の心境はいかがでしたか? 情報バラエティーとかワイドショーは出た経験があったのですが、報道の方からお声がけいただくというのがものすごく意外でした。「畑違いで大丈夫かな」「ご迷惑をおかけしないかな」という気持ちはありつつも、私自身が最近の動画のテーマで時事問題をよく扱っていたので、率直に興味がありましたし、うれしいというのが最初の感想でした。 ――近年はYouTubeの活動が中心となっていますが、中田さんは今、テレビをどのように捉えていますか? 今回「報道の日」をやらせていただいてすごく思ったのが、「競技が全然違う」ということで。サッカーとフットサルは似ているようで全然違うように、それぞれの戦い方や良さ、盛り上がりがありますが、テレビには集団で(番組を)作っているからこその良いところがたくさんあるなと。 作っている過程がまず楽しいんです。打ち合わせでいろんな方の意見を聞くのは新鮮で楽しいですし。あとは「テレビ報道70年の歴史」なんて言っていますけど、その蓄積で報道してきたアーカイブ映像の迫力はすごいです。 今回取り上げる話題で言うと、統一教会をめぐる岸信介さんの当時の行動とか、ハイジャック犯の生の映像とか、そういうものはYouTubeというメディア、YouTuberには伝え得ないものですから。そういった蓄積のインパクト、チームでやるという楽しさなどが、YouTubeとの大きな違いだなと感じています。 ■「自分の中ではYouTubeをすごくやりきった気持ちもある」 ――今回は地上波のご出演自体が1年ぶりで、TBSへの出演は2年ぶりとのことですが、テレビのオファーは断られていたのでしょうか? 私の中でもテレビとの距離感のようなものについていろいろ悩みました。たくさん出たら出たでやっぱりYouTubeの仕事に集中しきれないところがあるので、単純に時間の配分として「やっぱり今はYouTubeに集中したい」という時期が長かったです。 自分の中ではYouTubeをすごくやりきった気持ちもありますし、今後もやっていくんですけど、ちょっと自分の中で新たなチャレンジをしたいっていう気持ちになったんだと思います。 なので、今までお話をいただいてもご遠慮させていただいてたっていう側面もあったんですが、「チャレンジしたいな」って気持ちと、これまでとは全く違うジャンルの報道からのオファーというのが、タイミング的に非常にマッチしたっていうのが正直なところです。 ――今後はテレビでの活動にも力を入れていかれるのでしょうか。 どうなんですかね。基本的に仕事はすべて全力でやっていきたいと思いますが、テレビは「出たい」と言って出れるものでもないですし、ニーズがあれば出るわけですよね。自分の中で割ける時間は限られていますから、その中で、お話をいただければ最大限応えていきたいという気持ちはあります。 ■「YouTubeには人間性が漏れ出てしまう恐ろしさがある」 ――先ほどのお話にもありましたが、YouTubeではこれまでさまざまな時事問題に触れられてきました。2024年を振り返って、中田さんご自身が最も関心を寄せた事件やトピックは何でしたか? 今年は「YouTubeと選挙」の距離感がグッと変わった年だったなと思いましたし、ある意味その内側というか、一端に触れていたのではないかなと思います。 東京都知事選における「石丸ショック」(※大きな後ろ盾のない石丸伸二氏の躍進)というか、ネットが選挙にもたらしたインパクトはありましたし、自民党総裁選の時はたくさんの候補者の皆さんと対談させていただいたんですが、都知事選の時とはまた違う盛り上がりというか、「石丸ショックを知った後の総裁選」という感じがしました。 各陣営ものすごくネットに積極的になっている印象がありましたし、そこからの衆院選における国民民主党の躍進や、最終的には兵庫県知事選に至るまで、そこに一番関心がありました。 アメリカ大統領選もものすごくネットの影響が強かったなんていう分析もありますけど、「テレビか、ネットか」というよりも非常にメディアがハイブリッドになっている状態なのかなというのがあって。面白い状況だなと思いながら、私としては「やれることをやろう」という形で関わっていきました。 ――都知事選に自民党の総裁選と、多くの政治家の皆さんとお話をされていましたが、実際にお話をされてみて感じたこと、またメディアで取り上げられる印象とのギャップを特に感じられた方はどなたですか? 皆さんそれぞれにギャップは感じましたね(笑)。とっても魅力的でした。例えば「怖そう」っていう印象のある茂木(敏充)さんは非常にチャーミングな方でしたし、いろいろ言われがちな(小泉)進次郎さんはバイタリティーがあって面白い方だなと思いましたし。都知事選の時の小池百合子さんも印象的でした。 どちらかというと私は、「真実の周辺を徘徊する」というコンセプトでやっていまして。直進して「真実」へ向かおうとするとなかなかたどり着けなかったりするんですけど、周囲を徘徊していると何となく漏れ伝わってくるものがあるんです。 私はYouTubeというメディアをやってみて、「良さ」と「恐ろしさ」というのがあると思っていて。「恐ろしさ」というのは、ほぼノー編集であまりカットせず、尺も自由でやっていると、どんな人間かというのが結構漏れ出てしまうんですよね。隠しきれない。 実際視聴者の方に、健康状態から「なんか最近テンション低いんじゃないか」みたいなことまで、コメント欄で声を頂くんですけど、それが結構当たってるんですよ(笑)。「食べ過ぎて太ったんじゃないか」とか「肌が荒れてるぞ」とか「飽きてるんじゃないか」とか、全部見透かされてしまうので。 逆に言うと、そこを信頼してその人の雰囲気、魅力が画面から伝わっていけば良いのかなと思いながらやっていました。もちろん、やっていることがどうなのかというのも含めてですけど。その中で茂木さん進次郎さん百合子さんは魅力的でした。そう言うと他の人は魅力的じゃなかったみたいなりますね…。加藤勝信さんは好きです(笑)。 ■「一個の対象に極端に憤ったり、属性や集団で見たりすると見誤るのかなと思う」 ――YouTubeでは結構早めのテンポで、それでいてわかりやすく話していく形でやられていますが、テレビとはまた違ったトークのスタイルなのかなと思います。久々のテレビということで、トークについて戸惑うところや心配な部分はありますか? 心配しかないですよね(笑)。もともとテレビって、どちらかというと集団プレイであるとか、共演者の方とのコラボレーションですよね。それと一人でずっと喋るのは真逆ですから、ご迷惑をおかけすることは間違いないです。 なので何とか(テレビのスタイルに)慣らして、共演する皆さんのお話を聞きながら楽しくやっていけたらなと思います。その中でも、「YouTubeで解説する人だな」っていう印象を持たれてるだろうと思うので、そこはご期待いただければと思います。 ――報道番組の伝え方の部分は普段のテレビと比べて少し特殊かなと思いますが、今回はどんなことを意識して伝えていきたいと考えていますか? 盛り上げようとしてちょっとオーバーに、面白く言おうってよくやるんですよ。でも報道では、ちゃんと言っていくことの方が優先度は高いと思うので、そこは気をつけたいですね。 無理に盛り上げようとか笑いを取ろうとしなくとも、VTR、テーマ、素材がまず面白いので、そこの知的好奇心、情報の刺激にフォーカスしてなるべく邪魔せずにいたいなと。あくまで「お、中田が出ているな」というアイキャッチとして、番組と温度感を合わせて、そこの面白さを伝えていければと思います。 ――中田さんが考える報道番組のあり方や、これまで報道番組をどのように見ていたのか教えてください。 私が今回の「報道の日」のVTRですごく驚いたのが、「テレビだとやりづらそうだな」というネタの詰め合わせなんですよね。「これはちょっとテレビだと避けるかな」っていうところに踏み込んでいるネタばかりで。私の「テレビにはこういうことできない」っていう今までの印象が間違っていたのか、それともテレビが本気を出しているのか。 でもやっぱり最初は人だと思うんですよね。報道番組とかテレビ番組とかYouTubeって、大括りにすると見誤ることがあるなと思ってまして。私がこの「報道の日」のお仕事を受けしたのは、「テレビだから」「報道だから」だけでなく曺さん(※曺琴袖総合プロデューサー)にオファーいただいたからで。 経歴も見させていただいて、インタビューも全部見て、とっても素晴らしい方だなと。情熱的な方で才能もとんでもない人だなと思ったからこそ、やらせていただきたいと思ったので。 他のテレビや報道番組はどうかわからないですけど、この「報道の日」に関しては、とてつもなくジャーナリズムのエッジが立っているのではないかなと思いました。そしてYouTubeがどうというよりも、私もそうありたいなと思いました。 ――中田さんご自身もさまざまな形で発信をしている中で、「真実」を伝えることの難しさを感じる部分はありますか? そうですね。やっぱり難しいのが、ニュースってスピード感が必要なジャンルで。1カ月や2カ月検証していたら、(情報の)鮮度だとかリアルタイム性が失われてしまうので、早めにコンテンツを作って「こんなこと起きてるよ」って伝えなきゃいけないんですけど、そのスピード感が早ければ早いほどやっぱり検証が甘くなってしまうところがあったり、全く逆の証拠や証言が出てくることもあると思うんですよね。 なので、自分としては「こうあるべし」とか「こうでなきゃいけない」とか、一個の対象に極端に憤ったり、属性や集団で見たりすると見誤るのかなと思うので、難しいんですけどあくまで“中立”で発信したいっていう思いと、そういう発言は続けていきたいと思っています。 ■「長期的な戦略に基づいてというよりワクワクすることを」 ――今回は“中田敦彦”として報道番組にご出演されますが、“オリラジのあっちゃん”としての活動に期待されている方も多いと思います。今後お笑いやエンタメ方面でも再び地上波でやっていきたいという思いはありますか? どうなんでしょう。それも本当にニーズ次第だと思うんですよね。言っていただくのは嬉しいですけど、視聴者の皆さんのニーズも含めて私と相方(藤森慎吾)のコンビで見たいよって言っていただけるのであればやりたいですし。ただ、ニーズもないのにやりたいやりたいって言ってても面倒くさいだろうなと思うので(笑)。 我々はお客さま、視聴者あっての仕事なので、求められるならやりたいなと思います。相方のことも大好きですしリスペクトもしていますし、それぞれにいろんなジャンルで頑張っていると思うので、出来たらいいなとは思いつつその時の流れ、風に任せていくような気持ちです。 ――コンビ間で今後どうしていくかといったお話はされていますか? ここ1年くらいは無いですね。彼も結婚したりいろいろ動きがあるので。若手の頃はコンビでの活動が主体だったので、1年間の目標を立てながらやっていたこともあったんですが、それぞれお互いの生活と家族と仕事ができてからは、空気を読みながら(笑)。最近だと1カ月前に友人の結婚式で会って、近況報告して励まし合いました。 ――今回の出演に関して藤森さんからは何か連絡等はありましたか? 相方からはないですね。ずいぶんと音沙汰のなかった同級生とか、芸人の先輩とかからはちょっとだけ連絡いただきました。 ――先ほど「新たなチャレンジがしたい」というお話がありましたが、テレビに限らず、具体的にチャレンジしたいことはありますか? プライベートでは茶道をやっていまして。60歳くらいから効果を発揮しそうだなと思いながら準備しているんですけど(笑)、新たなチャレンジも思いついたらすぐやるタイプではあるんです。ただ考えすぎちゃうので。 私すごく何でも考えていそうな雰囲気だけ出していますけど、意外と何にも考えていないんですよ。何か長期的な戦略に基づいてやっているというよりは、ワクワクするからって感じで。どこかへ向かってカーナビを眺めているわけではなくて、「新しい道見つけたから右曲がってみようか」みたいな時あるじゃないですか。今はそういう気分で歩きたいかなって思うので、今のところ何も考えてないですね。 ■情報を得るのは今もオールドメディア「WEBの時代こそ新聞だ」 ――番組の面白さを伝える上でも、日頃からいろんなところにアンテナを張っていないといけないと思いますが、普段から意識して行っていることなどありますか? 新聞を読みますね。最近新聞もああだこうだと言われているみたいですけど、私はめちゃくちゃ読みますし頼りにしています。(情報が)早いし濃いので。私は皆さんに、「新聞をサブスクで読むべし」とお伝えしたいですね。「WEBの時代こそ新聞だ」と。 紙では読まないですけど、WEB版はすごく助かっていて。何が良いって、リンクで過去記事に飛べるんですよ。紙だと過去記事はスクラップしていないと見れないので、持って来るのが大変じゃないですか。一般の方は捨てちゃいますよね。 なぜか勝手に新聞応援団になっていますけど(笑)、新聞が非常に面白いので、それを読むのが習慣になっていますね。とにかく新聞のサブスクを登録することです。有料記事が一番面白いんだから。有料になった瞬間に読まないなんて、そういう時代は終わりにしましょうよと思っています。 ――中田さんは現在海外にお住まいですが、海外に行かれて見えてきたことはありましたか? やっぱり日本の素晴らしさですね。ものすごく安全だし、礼儀正しくて料理がおいしくて。何か旅行で日本に来た人みたいですけど(笑)、これ本当なんですよ。外国から来た人が判で押したようにそう言っているのを日本で聞いていた時は「またそれか」という感じでしたけど、外に出てみてそれが特別なことであると改めて気付きましたね。 店員さんたちはとっても礼儀正しいし熱心だし、店舗は清潔だし、トイレとかもすごいじゃないですか。接客一つとっても、それが高級店であろうとなかろうと関係なく素晴らしいですよね。そのあたりは感動しますし、改めて好きになりましたね。 ――海外に住んでいると、日本で生活している以上にさまざまな情報を取り入れる必要があるように思います。中田さんはご自身の中でどのように情報を処理、選別等していますか? 主に日本の方に向けて動画を作ったり、日本のスタッフと仕事していたりするので、情報の摂取で言うと(日本にいた頃と)さほど変わらないですかね。今はTVerもあるので日本のテレビ番組も見れますし。ただ、住んでみて違う感覚になれるのは楽しいですね。 海外の情報にしっかり触れるのは、子供たちの学校に行った時の親同士の会話くらいですよね。何となくしか聞きとれてないけどニコニコする技術は覚えましたね(笑)。英語は一切上達していなので、何とかやり過ごしている感じです。妻は英語をすごく勉強していて、困ったら妻の顔見ています(笑)。 ■M-1戦士たちへの深いリスペクト「ネタなんてとてもじゃないけどできない」 ――今回の番組では「今だから話せる“禁断ニュース”」が大きなテーマとなっていますが、中田さんの「今だから話せる“禁断ニュース”」はありますか? 私はもうデビュー時から黒歴史が全部出ちゃってますから(笑)。黒歴史しか無いんですよ。これが若手の頃だけだったら良いんですけど、数年前まで黒歴史ですから。“禁断ニュース”は何ですかね…。「M-1」をめっちゃ見たって感じですかね(笑)。めちゃくちゃ面白かったです。 もちろん令和ロマンすごいなと思いましたね。しゃべくり漫才の後に漫才コントやって、その上であれだけ盛り上げて。トップバッターで(あれだけできるのは)もう奇跡。あんなこと芸人だったら絶対できないってわかります。あんなに難しいことやっているコンビがいるんだなってビックリしました。 バッテリィズは好きになっちゃいましたよね。「面白い、このキャラクター」って。やっぱり好きになったら笑いやすいし、「この人あんまり好きじゃないな」と思ったら笑いづらいじゃないですか。だから今回見てみんな好きになったんじゃないかな。すごい魅力的で。 最終決戦の3組も素晴らしかったですけど、エバースも文学的だったし、知的でしたよね。決勝出た感じでこんなに熱く喋ってますけど、出てないですからね(笑)。10年間敗退しているんで何とも言えないですけど。 審査員席も若林(正恭)さんとか、ノンスタの石田(明)さんとか、先輩ですけど同じ時代を一緒に頑張ってきた芸人さんが入っていて、審査員も応援していました。「大変な審査だろうけど、頑張って!」という気持ちで、とても楽しかったです。 ――令和ロマンの高比良くるまさんは「尖っている」と言われることも多いですが、若手時代非常に尖っていた中田さんはそうした言動をどのように見ていますか? 言いたいのは、尖ったら損!(笑) 誰が言ってるんだって感じですけどね。 ――世間の皆さんの印象として、中田さんはまだ「尖っている」と思っている方もいらっしゃると思いますが、ご自身の中でそれが変わったきっかけなどはありましたか? 炎上したから(笑)。当時は「尖っていた」というよりは、思っていることを言うのが正しいと思ってたんですよ。うそをつくのは良くないと。なので言い切っていたんです。自分の中では(炎上に対する)わだかまりのようなものは無いんですけど、今はなるべく直接的なことを言わないという、「ハリー・ポッター」的な世界観頑張ってます。 あと、「うそってある程度必要なんだな」と思いましたね。よくよく周りを見たらみんなそうやって頑張ってるなって。この社会はそういう風に回っているんだから、「うそとは人間の叡智」なんだなと思いました。なるべく頑張って思っていることも言いつつ、「言わなくてもいいことは言わなくていいんじゃないか」という境地に至りました。 ――「M-1」を見てもう一度「お笑いをしっかりやりたい!」など、刺激を受けた部分はありましたか? いやいや、むしろ逆ですね。「これは無理だな、ネタなんてとてもじゃないけどできないな」と思いましたね。皆さん1年間研鑽を積んであそこに立っている選手たちというか。オリンピックみたいなもので、私も審査員の皆さんの方が世代は近いですから、懐かしんで見ている感じでした。私には私の今の戦いがあると思っているので、清々しい気持ちで見ていました。 ■見どころは10分×4コマのプレゼン「私にとってのM-1ですよ」 ――番組の中で中田さんのコーナーもあるそうですが、具体的にどのようなことをやられるのでしょうか? VTRはシリアスで深刻なものも多いんですが、私はそれだけじゃなくて、時代の移り変わりの中で「大変な事件も後に良いものを生んでるよ」とか、ちょっとポジティブになれるような情報をプレゼンテーションしていきます。そちらも知的な内容にできるんじゃないかなと思っています。 「その時代があったから今があるんだ」とか、「そのニュースってここに繋がるんだ」とか、そういうちょっとした“アハ体験”ができるというか。明日から言いたくなるような話を取り上げていきます。 YouTubeの動画と比べると短いですけど、ひとネタ10分くらいのプレゼンテーションはテレビ尺で言うと結構大きいですし、それも4ブロック頂けるので、6時間半のうち40分私がしゃべっているはずです。VTRも面白いですけど、合間のプレゼンテーションも非常に濃いものをやらせていただこうと思っていますので、ぜひご注目いただければ。 テーマはスタッフさんと協議して「これがいいんじゃないか」と決めています。プレゼン見ていただいて「ここカット」とか「ここ伸ばす」とかダメ出しを頂いて。漫画家と編集者のやり取りみたいな感じです。普段は自分で一発撮りしたものをそのまま放送しているので、すごく新鮮ですね。 実際(やり取りを重ねることで)良くなっていくんですよね。「確かにここいらないな」とか「もうちょっとこれ入れたら面白くなるな」とか。そういうコラボレーションがとても面白いので、クオリティーの高いものが出せるかなと思います。 準備も1~2カ月前からしていますし。YouTubeだとこんなに長い期間準備をすることはないんで、すごくやりがいがあります。私にとってのM-1ですよ。うちはネタ4本ありますから。一人で10分ネタ4本ですよ? 大変ですよ(笑)。