『ディア・ファミリー』がV2達成!初登場3位の『バッドボーイズ RIDE OR DIE』でウィル・スミスは完全復活なるか
6月21日から6月23日までの全国映画動員ランキングが発表。前週初登場で1位に輝いた大泉洋主演の『ディア・ファミリー』(公開中)が週末3日間で動員13万9600人、興収1億9700万円と前週比75%の成績を記録し、今週も首位をキープ。累計成績は動員46万7000人、興収6億3900万円となっている。 【写真を見る】あの事件後初の主演作は、自身の出世シリーズ最新作!ウィル・スミスの“ヒットの歴史”を振り返る ■2024年初!5本の新作が大挙にランクイン 今週は新作タイトルが一挙に5作品ランクイン。トップテンのうち半分が入れ替わるのは昨年12月第1週以来で、もちろん今年になってから初めてのこと。そのなかで最上位にランクインしたのは、興収12億円を超えるスマッシュヒットを記録した『老後の資金がありません!』(21)の前田哲監督と草笛光子が再タッグを組んだ『九十歳。何がめでたい』(公開中)だ。 直木賞作家の佐藤愛子のベストセラーエッセイ集を映画化した同作は、初日から3日間で動員11万8000人、興収1億4800万円を記録。先述の『老後の資金~』は初日2日間で動員12万人、興収1億4900万円だったので、そこには一歩及ばないものの上々の滑りだし。今週も6位に粘りこみをはかった『帰ってきた あぶない刑事』(公開中)も然り、エルダー層やシニア層が主要ターゲットとなる作品はやはり堅実なようだ。 動員成績では3位となった一方、興収での比較では『九十歳。~』を上回るスタートを飾ったのが、ウィル・スミスとマーティン・ローレンス共演の刑事アクションシリーズ第4弾『バッドボーイズ RIDE OR DIE』(公開中)。初日から3日間で動員10万人、興収は1億5400万円を記録。前作『バッドボーイズ フォー・ライフ』(20)は“17年ぶりの続編”というハードルの高さが災いして少々伸び悩む結果となってしまったが、4年ぶりの今作は復調傾向。 振り返ってみればシリーズの第1作『バッドボーイズ』(95)はスミスの出世作であり、その後の『インデペンデンス・デイ』(96)、『メン・イン・ブラック』(97)と合わせて彼が一気にスターダムをのし上がるきっかけになった作品でもある。海外と比較すると“ハリウッドスター”が更新されづらい日本ではあるが、それでも作品単位でたどっていけば当たり時期とそうでない時期ははっきりしており、スミスの場合はその3作品が大当たりした1990年代なかごろと2000年代、2度にわたって“当たり時期”がやってきている。 特に顕著だったのは2000年代。『ALI アリ』(01)でアカデミー賞候補になったのち、『メン・イン・ブラック2』(02)と『バッドボーイズ2バッド』(03)と代表シリーズの続編が成功。そこからは『アイ,ロボット(04)、『幸せのちから』(06)、『アイ・アム・レジェンド』(07)、『ハンコック』(08)と、なにをやっても大ヒットが連発する時期が長く続いた。2010年代に入ると興行的な低迷期に突入したものの、『スーサイド・スクワッド』(16)がまずまずのヒットを飛ばし、主演作ではないが『アラジン』(19)が記録的な大ヒット。 そうした人気復調のタイミングに、『ドリームプラン』(21)でアカデミー賞主演男優賞を受賞。本来ならばそこでドカンと弾けてもおかしくなかったが、その授賞式での出来事がそれに待ったをかけるかたちになったことは言うまでもない。それ以来の復帰作となる今作は、北米でもすでに興収1億5000万ドルに迫るヒットを記録。次作として『アイ・アム・レジェンド』の続編が控え、「バッドボーイズ」第5弾の可能性も伝えられているだけに、今度こそ完全復活を遂げ、3度目の大ブレイクを果たすことができるだろうか。 ■人気深夜ドラマ「おいハンサム!!」の劇場版は5位スタート! ほかに初登場作品は3作品。5位にランクインしたのは、2022年1月期と2024年4月期にフジテレビ系列の「土ドラ」枠で放送され、一部から熱烈な支持を集めたテレビドラマの初の劇場版となる映画『おいハンサム!!』(公開中)。 家族の幸せを願う父の源太郎(吉田鋼太郎)と、仕事や恋愛などなぜかうまくいかないことばかりが続く三人の娘たち(木南晴夏、佐久間由衣、武田玲奈)、そして超マイペースに家族を見守る母の千鶴(MEGUMI)の“伊藤家”を中心に、その周囲の人々の人間模様をコミカルに描くホームドラマ。1位の『ディア・ファミリー』と、3姉妹を育てる父親を主人公としている点で共通しているのは興味深い。 この劇場版ではドラマSeason1からのレギュラーキャストに加え、Season2から登場した藤原竜也や、劇場版からの新キャラクターとして宮世琉弥や野村周平、浅川梨奈らが参戦。ドラマ版とほぼ変わらないテイストや規模感を劇場版でも保っていることで、既存の作品ファンからも概ね好評。何度もリピートする視聴者が相次いだドラマ版と同様にリピーターが増加すれば、ロングヒットも期待できそうだ。 そして8位にはスリラー映画の名手M.ナイト・シャマランが製作を務め、彼の実の娘であるイシャナ・ナイト・シャマラン監督が長編デビューを飾った『ザ・ウォッチャーズ』(公開中)がランクイン。『帰ってきた あぶない刑事』の原廣利監督がメガホンをとり、「孤狼の血」シリーズの柚月裕子の同名小説を杉咲花主演で映画化した『朽ちないサクラ』(公開中)は10位に初登場を果たした。 公開11週目を迎え4位となった『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』(公開中)は、この週末3日間も動員8万2000人、興収1億1600万円を記録。累計成績では動員1052万人、興収150億円を突破。日本歴代興収ランキングでは『すずめの戸締まり』(22)を上回り、第15位まで浮上している。 以下は、1~10位までのランキング(6月21日~6月23日) 1位『ディア・ファミリー』 2位『九十歳。何がめでたい』 3位『バッドボーイズ RIDE OR DIE』 4位『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』 5位「映画『おいハンサム!!』」 6位『帰ってきた あぶない刑事』 7位『劇場総集編ぼっち・ざ・ろっく! Re:』 8位『ザ・ウォッチャーズ』 9位『劇場版ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉』 10位『朽ちないサクラ』 今週末は、人気ホラーシリーズの第3弾となる『クワイエット・プレイス:DAY1』(6月28日公開)、「チェンソーマン」の藤本タツキの同名読切漫画を劇場アニメ化した『ルックバック』(6月28日公開)、「それいけ!アンパンマン」の劇場版第35作『映画 それいけ!アンパンマン ばいきんまんとえほんのルルン』(6月28日公開)などが控えている。 文/久保田 和馬