<ソチ五輪>ノルディック複合 銀メダルを支えた秘密基地
■リレハンメル五輪以来20年ぶりの快挙 ノルディック複合男子ノーマルヒル個人で、渡部暁斗が銀メダルを獲得した。日本勢の複合個人でのメダル獲得は、1994年リレハンメル五輪で、河野孝典が銀メダルを獲得して以来20年ぶり。五輪3度目の出場にしてヒーローとなった25歳は、「2位という定位置は、僕らしい結果だったのではないか。悔いはない。メダルが取れたのは大きい」と笑顔で喜びを語った。 20年ぶりの快挙が生まれたのはなぜか。背景にあるのは、渡部ら日の丸複合陣を、後方で支える“秘密拠点”だ。場所は、ジャンプやノルディック複合の競技を行うルスキエ・ゴルキ・ジャンピング・センターから約3キロ。山あいのスキーリゾート地の一角にあるその拠点は、「マルチサポートハウス」と呼ばれる施設である。 ■4億8000万円を投じたサポート施設 マルチサポートハウスとは、アスリートのコンディショニングや疲労回復、食事などをサポートするために、国が費用を投資し、国立スポーツ科学センター(JISS)が設置した支援拠点だ。五輪で日本が初めて設置したのは、2012年ロンドン大会で、国が5億4000万円を投入して作り、史上最多のメダル38個を生む大活躍を支えた。 今回は、冬季五輪としては初めてのマルチサポート設置だった。氷上競技が行われるオリンピック・パークの近郊エリアに1つ、スキー競技などが行われる山岳エリアに1つ、計2つの拠点があり、費用は4億8000万円となっている。 渡部暁斗らノルディック複合勢は選手村に入らず、マルチサポートハウスの宿泊棟に寝泊まりし、練習や試合に通っているが、これは複合チーム自らが出した要望だ。距離は前述の通り、ジャンプ会場から約3キロ。下りになる帰り道は走って帰る選手も多いそうだ。 マルチサポートハウス内の設備の中でも、特に評判が良いのが、4人程度が一緒に入れる大きめの浴槽だ。阿部雅司コーチによると「選手たちは、いつも仲良く一緒に風呂に入っています。夕食後の入浴が何よりの楽しみと話す選手もいる」とのことで、ジャンプ女子チームのスポンサーが提供している入浴剤を使ってリラックス感を高めることもあるという。