ジープは積み重ねるため!? ランクルは安全面を考慮! そんな意味があったのかと思わず膝を打つ「クルマの形状」3つ
名車に受け継がれる伝統的な形状の意味を考える
当たり前の話だが、自動車のスタイリングはかっこよく作ればいいというものではない。求められている機能を満たしつつ、そのうえで魅力的なルックスにしていくものだ。実際、量産車のデザインは、スタート段階でパッケージを決めることから始まるのが常だ。もちろん、スーパーカーやエキゾチックカーのようにスタイリングこそ最優先という商品企画であれば、スタイリングのためにパッケージが犠牲になることもあるだろうが……。 【画像ギャラリー】機能のためにデザインされたクルマのディテール さて、そうした機能がカタチを作り上げるという意味で、象徴的なのはジープファミリーに共通するフロントの「台形フェンダー」がある。いまやフォルムとして台形フェンダーを採用しているのはジープ・ラングラーくらいだが、それ以外のクロスオーバーSUVスタイルのジープファミリーにおいてもフェンダートリムに台形モチーフが採用されている。 この台形フェンダーは、第二次世界大戦時に開発された初代ジープにルーツがある。 フェンダーの上部を平らにした理由については「そこにタイヤを載せても安定させることができ、ジープを重ねて運べるようにするため」という話がまことしやかに伝わっている。たしかに、「第二次世界大戦/ジープ/輸送(WW2/JEEP/Shipping)」とネット検索すると、初代ジープを重ねて運んでいる画像を見つけることができる。そのとき、フェンダーにタイヤが乗っているのは間違いない事実だ。 とはいえ、車体を重ねて運ぶための設計上のポイントとしては、フロントウインドウを畳める仕様にしていることのほうが意味は大きい。 さらに、木箱にジープを詰めて運ぶ際に外したタイヤがキャビンに収まるパッケージであったり、ステアリングホイールを外せる仕様にしていたりなどなど、軍用らしく輸送を考慮して設計されている。 そうした狙いのひとつとして上部が平なフロントフェンダーが採用されたというのは偶然ではなく必然であったろうし、それがジープの伝統になっているのは自然な話だ。