【共同通信杯】前走GⅠ好走馬は人気を裏切る傾向 データで導く「過信禁物の注目馬」
父サンデーサイレンス系以外は、前走上がり順位で明暗
次は血統に関するデータに着目する。父サンデーサイレンス系の馬は【6-7-7-46】勝率9.1%、連対率19.7%、複勝率30.3%で、「父がその他の系統」の馬は【4-3-3-34】勝率9.1%、連対率15.9%、複勝率22.7%。複勝率こそサンデー系がやや優勢も、大きな差はない。 だが、「その他の系統」について、前走での上がり順位別成績を見ると、明暗がハッキリと分かれる。前走で上がり1位だった馬は【3-3-1-13】勝率15.0%、連対率30.0%、複勝率35.0%と良好だが、前走上がり2位以下だった馬は【1-0-2-20】勝率、連対率4.3%、複勝率13.0%と振るっていない。 サンデー系も同様に分類してみると、前走上がり1位は【4-0-2-13】勝率、連対率21.1%、複勝率31.6%に対して、前走上がり2位以下の馬は【1-7-5-31】勝率2.3%、連対率18.2%、複勝率29.5%だ。勝率こそ大きく落ち込むが、好走率は上がり順位に関わらず高水準だ。 サンデー系の産駒は瞬発力に秀でた馬が多く、直線での末脚勝負になりやすい当レースは絶好の舞台である。一方で「その他の系統」の馬は、前走で瞬発力の高さを証明していたかどうかで、好走率に大きな差が出ている。父サンデー系以外で前走上がりが2位以下の馬は評価を下げるべきだ。
データで導く「過信禁物の注目馬」
ここまでに紹介したデータをまとめると、当レースにおける不安要素は以下の通りである。 ・前走GⅠで3着以内 ・父サンデー系以外で、前走上がり2位以下 これらを踏まえて、今回はジャンタルマンタルを「過信禁物の注目馬」として挙げる。 無傷の3連勝で朝日杯FSを制しただけに、今回も上位人気に推されることは間違いない。だが、当馬の勝利した3戦は全て、道中は淀みないペースでレースが進んでいた。こうした展開の中で先行策を取り、スピードの持続力を生かして後続を振り切る形で、勝利を積み重ねてきた。 しかし今回は登録11頭と少頭数で、東京芝1800mのコース形態も考慮すればスローペースでレースが進むことが濃厚である。こうなれば長い直線での瞬発力が問われるはずで、当馬の過去の好走パターンとは異なった展開となる。これまでの上がり3ハロン最速が34秒台後半の当馬にとって、瞬発力勝負は歓迎できるものではない。 また、クラシックへ向けて賞金面の不安は全くない立場であり、今回の出走は関東輸送や東京コースでのテストの意味合いが強そうだ。勝負度合いに関しては、他の有力馬と比べて一枚落ちる。2つの不安データにも該当しているだけに、重い印は避けるべきだ。 《ライタープロフィール》 藤川祐輔 98年生まれ、新進気鋭の若手ライター。競馬好きの父の影響を受け、幼いころから某有名血統予想家の本を読んで育った。以前は別媒体での執筆を行っていたが、よりデータを生かした記事を書きたいと考えSPAIA競馬への寄稿をスタート。いつの日か馬を買うのが夢。
藤川祐輔