深刻な“生理の貧困”……10代の3人に1人「生理用品の入手に困難」米研究、日本の現状は?
毎年10月11日は、女の子の権利やエンパワーメントの促進を国際社会に呼びかける「国際ガールズ・デー」。そこで今一度考えたいのが、世界で深刻化している“生理の貧困(生理用品や教育、衛生施設、廃棄方法などに対して十分にアクセスできない状態のこと)”問題。
アメリカでは、10代の若者の3人に1人が「生理用品を入手する際に困難を感じた経験がある」という最新の研究結果が話題を集めている。
生理の貧困問題、米国の病院調査で浮き彫りに
NBC NEWSによると、ワシントンD.C.のチルドレンズ・ナショナル病院では、2024年1月中旬から6月末までの期間中、緊急治療室を訪れた13歳から21歳の若者1,816人を対象に“生理の貧困”にまつわる調査を実施。そのうち32.9%が「過去1年間の生理中に布やティッシュを使わなければならなかった、またはタンポンやナプキンを買うお金がなかった」と回答したという。 チルドレンズ・ナショナル病院の研究センターのディレクターで、小児救急医療の専門家であるモニカ・ゴヤル博士は「この問題がこれほど広範囲に及んでいることに本当に驚いている」とコメント。アメリカでは物価の上昇に伴い、ナプキンやタンポンのような生理用品の価格が高騰している。
日本では「収入が少ない」を理由に挙げる女性も
日本も例外ではない。 厚生労働省が2022年に発表した「“生理の貧困”が女性の心身の健康等に及ぼす影響に関する調査(全国の18歳から49歳の女性を対象)」によると、「新型コロナウイルス発生後、生理用品の購入・入手に苦労したことがよくある/ときどきある」と回答したのは、全体の8.1%(244人)。年代別にみると18歳、19歳と20代の割合が高く、「自分の収入が少ないから」「自分のために使えるお金が少ないから」「その他のことにお金を使わなければならないから」などの経済的な理由が挙げられた。
「生理の貧困」が女性の社会進出に及ぼす影響と、その解決策
“生理の貧困”は衛生面や健康へのリスクを引き起こすだけではなく、学業、仕事、家事、育児などに影響を及ぼすほか、女性の社会進出の機会損失にもつながっている。 これらの問題解決として、イギリスでは2021年から生理用品の付加価値税が撤廃。フランスやニュージーランドなど、学校で生理用品の無償提供を行う国も増えている。日本国内でも「OiTr(オイテル)」をはじめ、さまざまな団体や地方自治体がナプキンの無償提供に取り組んでいる一方で、宮崎県では学校の生理用品配備にあたり購入費用の不足が新たな課題となっているという。ちなみに、日本において生理用品を軽減税率対象にすることを求める署名ページもあるので、気になる人はチェックしてほしい。
生理についてオープンに話そう!
生理の有無、男性女性に限らずにまずは生理について調べたり、学んだりすることが“生理の貧困”解決への第一歩と言える。支援団体への寄付やSNSへの投稿、周りの人との会話、意見交換も積極的に行うことが大切。 生理=恥ずかしいコト、隠すべきモノというステレオタイプや偏見をなくして、誰もが快適に生活できる社会の実現を目指したい。