「努力」ほど効率の悪いものはない…「やりたくない仕事」でも最短時間でこなす「意外な方法」
---------- 仕事のパフォーマンスを大きく左右する「モチベーション」。脳電気生理学者・元オックスフォード大学シニア研究員で、著書に『頭のいい人が問題解決をする前に考えていること』がある下村健寿氏によれば、脳内にある「快感回路」を刺激することで、モチベーションは高まるという。その科学的で具体的な方法を、下村氏がアドバイスする。 ---------- 【写真】脳科学者がつきとめた…「運がいい人」が判断基準にしている「1つのこと」
「努力」はもっとも効率の悪い方法
人が何かを成し遂げるときにカギとなる物質があります。 それが、「ドーパミン」です。 脳の奥深くにある「腹側被蓋野」という箇所で神経細胞によってつくられるドーパミンは、神経回路を通じて「側坐核」と呼ばれる場所などに放出されます。 このドーパミンは、脳に対して「欲求が満たされた」という感覚、つまり快感を生じさせます。 腹側被蓋野と側坐核を結ぶ神経回路のことを、通称「快感回路」と呼びます(上図参照)。 結局のところ、脳がハイパフォーマンスを発揮しているときというのは、この「快感回路」が活性化されているときになります。 趣味に没頭しているとき、充実した仕事をこなしているとき、人は必ず「充実感」という「快感」を感じています。 この「快感」を求めて、人は、一生懸命物事に取り組みます。そして、一生懸命に取り組んでいるとき、脳はハイパフォーマンスを発揮しています。 つまり、脳のパフォーマンスを向上させるということは、物事を楽しむ、すなわち快感を感じることです。 子供のころから、「努力とは尊いものだ」と教えられてきた人も多いと思います。何かうまくいかないと、親や学校の先生に、「努力が足りない」「もっと努力しなさい」と言われてきたことでしょう。 しかし、脳のやる気を引き出して何かを成し遂げるためには、「努力」は、もっとも効率の悪い方法だといわざるをえません。
脳のやる気を引き出すためには?
努力とは、「いやなことを我慢してがんばる」ことです。 いやなことをがんばって続けても、残念ながらドーパミンは出ません。 なぜなら、好きでやっている人は、やればやるほどドーパミンが脳内で分泌され、快感回路が刺激されて、快感をさらに求めてずっとやり続けることができるからです。 脳のやる気を引き出すためには、目標とすることを「好き」になる、またはその目標を達成することで快感が得られる方法を見つける必要があります。 ですが、社会生活を送るうえでは、自分にとって「いやなこと」「気が進まないこと」をしなくてはならないときがあります。 私も実験をしたり論文を書いたりすることは好きですが、大学教授としてこなさなければいけない事務的な仕事もあります。 これらの仕事は確かに必要ですし、大事な仕事だと理解していますが、モチベーションを持って楽しんでやることが難しいことは認めなければなりません。 あなたも、避けて通れないがモチベーションが上がらない「やりたくない仕事」を、ひとつは必ず抱えていると思います。 その「やりたくない仕事」は、なるべく最低限の時間でこなしたいと思っているはずです。 このような場合においては、ドーパミンを介した快感回路を活用することが効果的です。