旧シャープ本社跡地へ 近所の男性「更地でハルカス見えるもん」
仕事の帰りに大阪市阿倍野区を訪れた際、久々に同区長池町に足を運んでみた。地下鉄・御堂筋線の西田辺駅近くで囲われた更地の工事現場にたどりついたのだが、かつてここは、あの「シャープ」の本社ビルがあった場所だった。 【拡大写真と動画】解体工事中のシャープ旧本社ビル 大看板に足場迫り多くの見物人
囲いの一部はずされ、歩道から更地の状態少し見えた
今年3月下旬から4月初旬に、THEPAGE大阪で解体工事の足場が組まれ、看板が見えなくなったという様子を伝えたが、あれから7か月、本社ビルのあった場所は工事が進められ、現在は更地の状態となっている。 8月の時点で更地の状態になっており、近くの歩道橋からその様子を伝えるSNSなどの投稿も多く見受けられたが、ここ数日は囲いの一部がはずされるなどしており、歩道からも中の様子をうかがえた。
田辺ビルは戻ったけれど
昨年3月、経営危機となった同社が旧本社ビルを、家具販売大手の「ニトリ」に、隣接する「田辺ビル」をNTT都市開発に売却。昨年7月には本社を工場のあった堺市に移した。 旧本社ビルのあった地は1924年、創業した早川徳次氏が東京から同社の前身となる「早川金属工業研究所」を構え「第2の創業の地」とされていた。そのため同社の戴正呉社長が会見などで買い戻しを目指し、田辺ビルは同意したが、本社は実現しなかった。
更地となり、長池小学校もよく見える状態に
現在、本社ビルという大きな建物がなくなったため、現場からは約3キロ離れた「あべのハルカス」が見え、隣接する大阪市立長池小学校の校舎もよく見える状態に。 この本社ビルの移転時や足場が組まれ始めた際は、地元の人ら多くの人たちが様子を見に来ては、写真を撮る光景が多くみられたが、もう今ではその時の面影はみることができない。
「シャープ南側」と書かれた電話ボックス
筆者が写真撮影をしていると、近所に住んでいるという70代の男性が「だいぶ変わったやろ」と話しかけてきた。男性は、毎日散歩がてらこの場所を見てきたが、やはり、このガランとした状況には寂しさを覚えたという。 「西田辺からスーツ姿のシャープの人が、たくさん歩いて来るのが当たり前やったけど、もうそれがなくなって当たり前になってきた。だって、こんな更地やから、歩道からでもハルカスが見えるもん。こんな歩道から見えへんかったもんなぁ。けっこう地元の誇りみたいな感覚もあったんで寂しいね。ここへ通ってた人、いまの場所(堺市)へ通うの大変やろな」などと話していた。 最後、西田辺駅方面へ歩いている途中に「シャープ南側」と書かれた公衆電話ボックスを見かけた。これもここに同社があった証のひとつとなっている。そして、この場所にはいずれ、ニトリの店舗が建設される見通しだ。