鬼殺隊最強の柱「悲鳴嶼行冥」が涙の中に垣間見せる「怒り」 痩せた青年を強くさせた“悲しき過去”
■悲鳴嶼の思いは届くのか 柱稽古の最後に、道を踏みちがえることがあるのではないかと自分の決断を恐れる炭治郎の頭を、悲鳴嶼は優しくなでた。そして炭治郎の姿に、元気だった頃の寺の子どもの姿を重ねた。悲鳴嶼は、鬼のいない新しい朝を求めている。子どもが笑顔で、明日を迎えられるようにと。 そうして悲鳴嶼は、過酷な鬼との戦闘の最前線に立つために、みずからは死地へと向かう。――我ら鬼殺隊は 百世不磨。 悲鳴嶼の心は決して折れない。鬼の総領・鬼舞辻無惨との戦いには、鬼殺隊最強の男、岩柱・悲鳴嶼行冥の力が必要だ。最終決戦での悲鳴嶼のすさまじい覚悟と強さに、誰もが勇気づけられることだろう。 ◎植朗子(うえ・あきこ) 伝承文学研究者。神戸大学国際文化学研究推進インスティテュート学術研究員。1977年和歌山県生まれ。神戸大学大学院国際文化学研究科博士課程修了。博士(学術)。著書に『鬼滅夜話』(扶桑社)、『キャラクターたちの運命論』(平凡社新書)、共著に『はじまりが見える世界の神話』(創元社)など。
植朗子