鬼殺隊最強の柱「悲鳴嶼行冥」が涙の中に垣間見せる「怒り」 痩せた青年を強くさせた“悲しき過去”
【※ネタバレ注意】以下の内容には、アニメ、既刊のコミックスのネタバレが一部含まれます。 【画像】もう一人の「鬼殺隊最強」と言われる柱はこちら 『鬼滅の刃』アニメ「柱稽古編」第7話は、これまでのエピソードの点と点がつながり、アニメでしかできない演出の妙が際立つ回となった。今回は鬼殺隊最強の男・悲鳴嶼行冥の“悲しき過去”が明らかになったが、彼の心に渦巻く苦悩は、その身を鬼殺隊にささげた今も、まだ解決されてはいない。悲鳴嶼は何のために戦い、何を思って涙を流しつづけるのか。彼が見せる「怒り」の原点とは何か。第7話のエピソードから考察する。 * * * ■鬼殺隊最強の男が抱える「闇」 鬼殺隊最強と称される岩柱・悲鳴嶼行冥(ひめじま・ぎょうめい)。220センチ、130キロという恵まれた体格は、周囲の剣士と比べても明らかに突出している。遊郭の鬼からその身体を「妬ましい」とすら言われ称賛された元音柱・宇髄天元でも、198センチ、95キロ。悲鳴嶼の体躯はこれをゆうに超えるのだ。 悲鳴嶼は乳児の頃の高熱が原因で失明しているが、それを感じさせない勘の鋭さによって、鬼との戦闘でも後れをとることは決してない。柱の中でもリーダー格の人物として、若い少年少女の隊士たちからも慕われていた。しかし、悲鳴嶼はいつも涙を流し、念仏をとなえている。彼の心は、決して晴れやかなようには見えない。柱稽古では、炭治郎にその心の内を吐露している場面があった。 「私は本当に疑り深くなったように思う 君のことも勿論疑っていた」(悲鳴嶼行冥/15巻・第135話)
■悲鳴嶼の心から消えない「怒り」 悲しみだけではない。彼は慈悲の涙の中に、強い「怒り」を時折のぞかせる。悲鳴嶼の表情は、まるで明王像のように、世を救うための忿怒(ふんぬ)が顔にあらわれているようにも見える。 柱稽古として、悲鳴嶼は「反復動作」と呼ばれる方法を一般隊士たちに教えていた。これは身体に眠っている潜在能力を引き出すために「反復動作」を行う、というものなのだが、彼の場合は「怒りや痛みを思い出す」ことが、その引き金になるのだという。大切な家族や、自分を守って亡くなった炎柱・煉獄杏寿郎を思い出しながら反復動作を行う炭治郎とは、対照的だった。 ■悲鳴嶼の悲しい過去 かつて悲鳴嶼は、鬼狩りの剣士になる前に、寺で身寄りのない子どもたちを育てていたが、寺の子どもの1人が鬼に脅され、「鬼よけ」の藤の花の香炉を消し、寺の中に鬼を引き入れてしまった。8人いた子どもの内、7人が鬼に喉をかき切られて死んだ。悲鳴嶼は子どもたちを守ろうとしたが、1人を除いて、子どもらは盲目の悲鳴嶼の言葉を聞かず、彼のそばを離れたがゆえに死んでしまった。 自分を裏切って鬼の言いなりになった子ども、悲鳴嶼を信頼せずに勝手に逃げようとして死んでいった多くの子どもたち…。「悲しみ」だけでは言い表せない気持ちが、今でも悲鳴嶼の心に押し寄せる。 「子供というのは 純粋無垢で 弱く すぐ嘘をつき 残酷なことを平気でする 我欲の塊だ」(悲鳴嶼行冥/15巻・第135話)