全国ボッチャ選抜甲子園で銅メダルを獲得した佐世保特支ボッチャ同好会「ＳＡＳＥＢＯＢＵＲＧＥＲＳ」＝墨田区総合体育館

　８月上旬、東京都の墨田区総合体育館で行われた「第９回全国ボッチャ選抜甲子園決勝大会」。昨年に続いて２度目の出場となった佐世保特別支援学校ボッチャ同好会「ＳＡＳＥＢＯＢＵＲＧＥＲＳ」が銅メダルに輝いた。監督の澤井幸八香教諭は「昨夏の（決勝トーナメント）１回戦敗退の悔しさを糧に、一人一人が考えてプレーできる力がついた」と教え子たちの成長に目を細める。 　ボッチャは３人一組の２チームが、コート内にある白い目標球「ジャックボール」に各チーム６個のボールを投げたり転がしたりして、目標球との距離の近さを競うスポーツ。年齢や性別、障がいのあるなしにかかわらず、誰もが楽しめるのが魅力だ。現在開催中のパリパラリンピックで日本は３大会連続となるメダルを獲得するなど、人気が高まってきている。 　ボッチャ甲子園は肢体不自由の生徒を対象に、ボッチャの普及と練習の成果を発揮する場、特支同士の交流の場として２０１６年から開催。今年は予選に全国４３チームが出場して、ビデオ審査の予選を通過した１６チームが決勝大会で競った。 　「ＳＡＳＥＢＯＢＵＲＧＥＲＳ」は２１年に本格的な活動をスタート。現在、高等部２人、中等部６人の計８人で活動している。全員が同校入学後から競技を始めており、当初は目標球にボールを近づけるのもやっとな状態だったが、週１回の練習、教諭らとの練習試合を続けて、チームワークや技術を磨いてきた。 　初めて臨んだ昨夏の決勝大会は、東京の会場の雰囲気にのまれて力を発揮できなかった。だが、この苦い経験がまた、選手たちの成長を促した。試合中のコミュニケーションの取り方、戦術、司令塔の役割－。強豪チームの戦い方を間近で見ることで、生徒一人一人が考えながら練習に取り組むようになった。 　試合１カ月前には練習時間を倍にして、それぞれが課題克服に取り組んだ。迎えた本番。みんなで頑張ってきたチームは強かった。予選のビデオ審査を１位で通過すると、全国でも「１勝はできそう」という澤井教諭の予想をいい意味で裏切って準決勝に進出。大会ＭＶＰを受賞した山口響主将を中心に、声をかけ合いながら、それぞれが自らの役割を果たした。胸元に輝いた銅メダルは、そんな“全員ボッチャ”のたまものだった。 　みんなで楽しみ、きついことを乗り越え、力を合わせて物事を成し遂げる。「今年は準決勝で負けはしたが、優勝チームに劣らない力は持っている」（澤井教諭）。来年はメダルの色を金に変えるために、これからもチームで前に進んでいく。