30歳を過ぎた夜職女性の“昼職”転職事情…シングルマザーのキャバ嬢や歴10年のデリヘル嬢にマッチングする「ヒルコレスナック」とは?
いきなり部長としてアサイン
行き詰まった西谷さんは2023年末、ヒルコレスナックに入った。職種の希望は特になかったが、とにかく稼げる仕事に就きたい旨をスナックのオーナーに伝えた。 そして出勤2日目で、いきなり転機が訪れる。 「『令和の虎チャンネル』にも出演しているエクシアのFC加盟店舗のオーナーが来店して、意気投合しました。オーナーは飲食店や保育事業、美容事業を展開するエネルギッシュな方で、とにかくやる気がある人を採用したいとのことでした。 これはチャンスだと思い、私がシングルマザーで、息子のためにとにかく稼ぎたいことを伝えました。そしたらオーナーとも波長が合って、私の気概を買ってくださり、エクシアホワイトニング新橋店の美容事業の部長としてアサインさせていただくことになりました。 給料は、固定給30万円に加え、会員数に応じてインセンティブが付与される仕組みでした。営業職として、ホワイトニング通い放題の月額サブスクプランを売り込み、会員が300人を超えれば、年収1000万円に到達する。仕事をするだけ稼げるのは私にとって最適な環境だったので、即決しました」 ヒルコレスナックでは、お店でマッチングが成功すれば、そのままお店のキャストを卒業して就職する流れとなる。あまりにとんとん拍子に思えるが、企業からしても即戦力の人材がほしいからこそ、お金と手間をかけてスナックを訪れているため、採用するモチベーションが高い。そのため、ヒルコレスナックのキャストの在籍期間は、平均2~3ヶ月とスムーズに採用が決定することが多い。 就職したばかりでも、徐々に顧客を獲得して手応えを感じている。未経験の営業職でも、キャバクラで培ったトークスキルで、ガツガツと商材を売り込む毎日だ。
10年以上デリヘルに勤務
西谷さんのように即採用につながるケースもあれば、思うように転職ができない場合もある。 ヒルコレスナックで1年働く横井真緒さん(仮名・32)は、現在も週3~4日デリヘルで働きながら、いまだに昼の世界に飛び込めずにいる。彼女の場合、職種や給与、雇用体系など、働き方の条件は絞っていないものの、いまひとつピンとくる仕事に出会えていないという。 なかなか転職を決断できない背景には、風俗業界に長年携わってきた複雑な事情があった。 横井さんがデリヘルを始めたのは20歳の頃。高校を卒業したのち上京して、正社員としてスーパーで働くものの、母から頻繁に仕送りを求められたため、稼ぎのいい風俗の世界に足を踏み入れる。 「実家に借金があり、高校卒業後から親に仕送りを求められるように。最初は生活費として毎月10万円ほどほしいと言われ、それ以外も父の入院費や車検代を求められるようになりました。スーパーの給料では生活もカツカツなので、繁華街の駅周辺にいたスカウトの方に自分から声をかけて、デリヘルの仕事を斡旋してもらいました」 21歳でスーパーを退社して、デリヘルで週5回ほど働くようになる横井さん。月収は100万円を超える月もあった。シフトも融通が効きやすく、職場の人間関係も気にしないデリヘルの仕事は性に合っていたようで、特に不自由なくそのまま働き続けた。