悔しい悔しい、母国初レース”東京E-Prix”2位の日産……西川エンジニア「あとちょっとだった。でも最後まで諦めない、ローランドに感動です」
初開催となったフォーミュラEの東京E-Prix。母国レースを初めて戦うことになった日産は、最後の最後までオリバー・ローランドが勝利を目指したが、僅かに届かず……2位でチェッカーを受けた。 【リザルト】フォーミュラE東京E-Prix決勝レース結果 日産フォーミュラEチームのチーフ・パワートレイン・エンジニアを務める西川直志エンジニアは「あとちょっとだった」と悔しがると共に、最後まで諦めなかったローランドの攻めの姿勢に感動したと語った。 東京E-Prixの予選でローランドは、デュエルのファイナルまで進出。マセラティのマキリミリアン・ギュンターとの一騎打ちを繰り広げた。アタック序盤はローランドが先行したが、ギュンターが逆転し周回終盤へ。ローランドの勝ちは潰えたかと思われたが、土壇場で大逆転! 僅か0.021秒差でポールポジションを獲得することになった。 レースでもローランドは首位を快走。しかもローランドが先に2度のアタックモードを起用し終えた段階で、2番手のギュンターはまだアタックモードの使用義務が残っていたため、ローランド有利と見えた。アタックモードを起動すると、当然出力は上がるが、その起動時には”アタックゾーン”を通過せねばならず、タイムだけでなくポジションを落としてしまうことも多いからだ。 しかしギュンターはローランドを抜き去ると、いきなりハイペースで飛ばし、2秒のリードを築いてそのままアタックモードを起動。首位のままレースに復帰すると、最後はローランドの猛攻を凌ぎ切り、トップチェッカーを受けた。ローランドと日産は、ほんの僅かの差で、チームの母国での初レースを、勝利で飾ることができなかった。 「ああ、悔しいですねぇ。あとちょっとだったなぁ」 西川エンジニアは、本当に悔しそうにそう語った。 「色々とデータの分析をしなければいけない部分はありますが、画面で見る限りでは、先頭をずっと走っていた分、エネルギーマネジメントが厳しかったようです。まだ、ハッキリとは分からないですけどね」 「抜かれるまで、ずっと風除けにされていたんだと思います。そのため、後ろ(ギュンター)の方がエネルギーを残していました。それを使ってオーバーテイクしてきたんではないかと思います」 レースにタラレバは禁物である。しかし西川エンジニアは、勝てる手応えがあったからこそ、この悔しさに繋がっていると語った。 「レースは水物ですからね、タラレバを言っても仕方ないですが……(勝利が近かったからこそ)悔しいですね」 「ただ昨シーズンに比べると勢いは良く、3戦連続で表彰台を獲得できています。チームとしても、勝つまでにはもう一歩というところに来ていると思います。今後に期待したいですね」 「でも、ローランドが最後までオーバーテイクを諦めずにチャレンジしたところに、ちょっと胸が熱くなりました。あのチャレンジスピリットには、すごく感動しました」 このレースには、NISMOブランドなどを展開する日産モータースポーツ&カスタマイズ株式会社の片桐隆夫も現地で観戦。表彰式の際に次のように語った。 「表彰台に乗れました。そして次のやるべきことが明らかになったということで、良かったと思います」 「東京でフォーミュラEのレースができるなんて、夢のようです。ずっと熱望していました。日本でというだけで嬉しいのに、それが東京、しかも日本の公道では初の世界選手権ということで、多くの人にフォーミュラEを知ってもらう第一歩になっていれば嬉しいです」
田中健一