丸川珠代氏の敗因は「お涙頂戴作戦」だけではなかった! 弱者に冷たく負けず嫌いで「なんか鼻につく」
女子アナ、関西人、ワーママ……ステレオタイプの武器は使わない丸川氏に見る負けず嫌いさとズレた有能感
丸川氏が負けず嫌いというのは疑うべくもないが、個人的には政治家としての戦い方も興味深い。まず「キー局女子アナ」「関西人(神戸市出身)」「子どもを持つ母」という、ふつうの政治家だったら利用しまくるだろう「武器」をあまり押し出さない。 若い美人、関西人、働く母親。それは都内に長年地盤を置く年配男性たちがひしめく政界では、マイノリティーである。だからこそ目立つし有権者からの親近感を得られることもあるのに、丸川氏はむしろマジョリティー側に溶け込むことに腐心しているように見えた。 2010年は仏頂面で子ども手当の導入に時代劇のようなやじを飛ばし、当時の振る舞いを注意されても「総理のご発言を真摯に受け止め、反省すべきは反省したい」と強気を崩さない。第1子が生まれたのはその2年後で、今でこそ「子育てとキャリアの両立支援」を掲げているが、特別に働きかけたことは見あたらない。2021年には各県議会の自民党所属員に選択的夫婦別姓の導入に賛同する意見書を採択しないよう求める文書を郵送したりと、むしろ働く女性に対して制限をつけるような行動が目立つ。それでも広報本部長や五輪相まで担当したのだから、党内では信頼されているという有能感を覚えていたのではないだろうか。 子どもが生まれるなり育休を取り、イクメンアピールをし出した小泉進次郎議員みたいなタイプがいいかといえば、それはそれでちゃっかりしてんな、としか思わないが、丸川氏は丸川氏でずいぶんひねくれてるなと思う。美人とか関西人とかワーママアピールとか、ステレオタイプな武器は使わずにのし上がるわよ、という負けず嫌いさは大したものだが、政治家だってイメージ商売。政治家に必要なのって、パーソナリティーにしても公約にしても「分かりやすさ」ではないだろうか。裏金問題もごちゃごちゃ言わず、きっぱりはっきり謝っていればまた違った展開もあっただろうに、やはり自分の見え方よりも見せ方にこだわって自滅した印象が否めない。