バレンズエラ氏（AP）

　ドジャースは22日、メジャー通算173勝を挙げ、ドジャースの伝説的左腕として知られるフェルナンド・バレンズエラ氏が63歳で死去したと発表した。引退後は、長年、チームの解説者を務め、記者席や記者の食堂にも顔を出すチームのシンボル的存在だった。 　メキシコ出身のバレンズエラは12人兄弟の末っ子として生まれた。17歳でドジャースのスカウトに見いだされ、1980年に19歳の若さでメジャーデビュー。2年目の81年には13勝7敗、防御率2・48で旋風を巻き起こし、史上初の新人王とサイ・ヤング賞のダブル受賞に輝いた。この年、チームはワールドシリーズに進み、ヤンキースと対戦。第3戦で146球を投げて完投勝利、チームをワールドチャンピオンに導いた。 　ドジャースには1990年まで在籍。86年にはキャリアハイのシーズン21勝をマーク。ドジャース最後の年となった90年にはノーヒットノーランを達成した。91年以降はチームを転々とし、97年がメジャーでの最後の年となった。メジャー通算173勝153敗、防御率3・54。 　独特のフォームとスクリューボールを武器に、ラテン系の多いロサンゼルスで圧倒的なファンの支持を得て、「フェルナンド・マニア」を生み出した。現役引退後も、ファンの前に姿を見せれば熱狂的な声援が飛び、多様性の街ロサンゼルスのシンボル的な存在だった。ドジャースは昨年、バレンズエラが背負っていた背番号「34」を永久欠番とした。 　2003年からはチームの解説者として活躍していたが、最近は闘病生活が続き、今年のシーズン終盤は解説を休養していた。ロサンゼルス・タイムズのビル・プラシキ記者は追悼のコラムで、「バレンズエラは『ドジャース』の前に『ロサンゼルス』を付け加えた」と記し、その存在がファンを引きつけ、ニューヨークから移転したチームを、ロサンゼルスのチームに変えたとその功績をたたえた。（写真はAP）