ストームチェイサーとは 青木豊さんに聞く
生活を支えるためには、アルバイトは欠かせない。竜巻などの発生は少ない冬場は、『ストームチェイサー』の看板を下ろして、アルバイトで資金を貯める。オンシーズンでも、早朝は清掃のアルバイトで生活費を稼ぎながら、活動を続けている。それでも「お金がないことはなんとも思わないですね。ある意味、恵まれた環境でいる。夢を追えるのはありがたい」と笑顔で話す。
過去、たった一度だけ、辞めようと考えたことが合ったという。2012年にエコノミー症候群を発症してしまい、病院生活を余儀なくされる。「回復するのに3ヵ月もかかってしまって。それがオンシーズンだったので、悔しかったです。雨雲を見るたびに、動けないことがつらくて、辞めることも考えました」と振り返る。それでも踏みとどまった理由は、青木さんなりの目標があるから。 「竜巻の写真もそうですけど、『虹と雷』の写真を撮ることを目標にしています。竜巻だけだと、10年に1回しか遭遇できないので、目標にすると少し無理があるんで。でも『虹と雷』を撮れると思っています。それまでは、辞められないですね」と目を輝かせる。日本のストームチェイサーは、どこまでも純粋に気象現象を追い続けている。 ■青木豊(あおき・ゆたか) 1968年生まれ、茨城県出身。写真屋の次男坊として生まれ、家業を継ぐもデジタル化の波に飲まれて廃業。現在は悪天候の追跡と撮影をするストームチェイサー。独学で気象学を学んだ後に気象現象の撮影に没頭する。撮影フィールドは北関東の内陸部が中心。雷、集中豪雨など、局地現象の写真をライフワークとしている。