第2次石破内閣発足 30年ぶり決選投票 閣僚人事、新たに3人起用
第215特別国会が11日召集され、自民党総裁の石破茂首相(67)が第103代首相に選出された。衆院で与党が過半数(233議席)を割り込む異例の状況下で、衆院の首相指名選挙は30年ぶりの決選投票となった。皇居での首相任命式と閣僚認証式を経て、公明党との連立による第2次石破内閣が発足。石破首相は経済対策の裏付けとなる補正予算案の年内成立を目指すほか、政治改革の年内決着に取り組む構えだ。 自民派閥裏金事件の逆風を受け、衆院選で自民、公明両党は惨敗した。自民は裏金問題で非公認とした無所属ら6人を会派に加え、公明と合わせて計221議席の「少数与党」として国会運営に臨み、政策ごとに国民民主党など一部野党の協力を取り付けて政権維持を目指す。 石破首相は11日夜、首相官邸で記者会見し、「自民党は今度こそ、あるべき国民政党として生まれ変わらなければならない」と述べ、政治資金の透明化などに取り組む姿勢を示した。また、経済対策の一環として人工知能(AI)や半導体分野に10兆円以上の公的支援を行い、今後10年間で50兆円を超える官民投資を引き出すための新たな枠組みを設けると表明した。外交面では、トランプ次期米大統領と「なるべく早いタイミングで直接会談する機会を持ちたい」と語った。 首相指名選挙は、衆院の1回目の投票結果(投票総数465票)で、石破氏221票▽立憲民主党の野田佳彦代表151票▽日本維新の会の馬場伸幸代表38票▽国民民主の玉木雄一郎代表28票▽れいわ新選組の山本太郎代表9票▽共産党の田村智子委員長8票――などとなり、いずれも過半数に達しなかった。 上位2人の決選投票は得票数の多い方が選出される仕組みで、自公が支持した石破氏が221票を獲得し、野田氏の160票を上回った。共産は野田氏に投票した。 一方、決選投票で野田氏への一本化に賛同しなかった維新、国民民主、れいわ、参政党、日本保守党などが石破、野田両氏以外の名前で投票したため、無効票は84票に達した。 自公が過半数を占める参院(投票総数239票)では、石破氏142票▽野田氏46票▽馬場氏18票▽玉木氏11票▽田村氏11票▽山本氏5票――などだった。 首相指名選挙が決選投票になったのは戦後5回目で、社会党出身の村山富市首相が選出された1994年以来。 石破首相はその後、公明の斉藤鉄夫代表と首相官邸で党首会談をした上で組閣本部を設置。閣僚人事は、衆院選で落選した牧原秀樹法相と小里泰弘農相の後任に、それぞれ鈴木馨祐元副外相(47)と江藤拓元農相(64)を、公明の斉藤代表が務めてきた国土交通相には公明の中野洋昌元経済産業政務官(46)を起用した。それ以外の閣僚は再任した。【村尾哲】