「時が止まった1年」…人質になったイスラエル軍兵士の母が語る
イスラエルを奇襲したイスラム原理主義組織ハマスの戦闘員らがパレスチナ自治区ガザに人質を連行してから7日で1年が過ぎ、人質の家族は焦燥感を強めている。人質になったイスラエル軍兵士の母が産経新聞の取材に応じ、「この1年は時が止まったようだった」などと辛い胸の内を明かした。 【データで見る】パレスチナ自治区「ガザ」はどんなところ? 取材に応じたのはヘルート・ニムロディさん(49)。息子のタミルさんは拘束中に1つ年を取り19歳になった。軍でガザ住民の生活を支援する部局に属していたタミルさんは昨年10月7日、ガザとイスラエルの境界にあるエレズ検問所で襲われ、同僚2人とともに誘拐された。 ヘルートさんは「誘拐された直後に爆撃が起き、息子はそこにいたという情報がある。そのあとの安否はまったく確認できない。パレスチナ住民との懸け橋の役割をしていた息子がこんな目に遭うなんて。ハマスは非人道的だ」と話した。 「この1年は長い1日のようで、祝日に祝うこともなかった。眠れないが頭を休めるために少しでも横になるようにしており、毎日陰鬱な気持ちで朝を迎えている」(ヘルートさん)という。 イスラエル政府広報局によると、生後9カ月の乳児から86歳の高齢者まで251人が人質として連れ去られた。117人が生還し、37人は遺体で発見された。ガザには97人が残っており、一部は死亡した可能性があるとしている。(テルアビブ 佐藤貴生)