清宮の甲子園第1号の裏に脅威の成長力!
早実の怪物1年生、清宮幸太郎が、ついに覚醒した。ベスト8進出をかけた強豪、東海大甲府との10日の3回戦。1-1で迎えた3回無死一塁でカウント1-2からチェンジアップを捉え、ライトスタンドへ勝ち越しの2ラン。甲子園登場3試合、12打席目にして待望のアーチを打ち上げると、5-3の6回二死満塁にも、「狙っていた」という2番手のチェンジアップを狙い打ち、ライトフェンスをショートバウンドで直撃する走者一掃のツーベース。8回にも一死からライト線を破るツーベースを放つ活躍で、お立ち台に呼ばれると、「まだまだこんなもんで満足していない」と、いかんなくビッグマウスぶりを発揮した。 バッティングのプロが見ると、この日の清宮には、ある成長の跡が見られたという。 調布シニア時代に清宮の指導経験のある阪神DCで、評論家の掛布雅之氏が言う。 「バッティングが変わったね。スイングにフォローが出てきた。今までは、コンパクトにまとまりすぎていたのが気になっていたが、立派なアーチストのスイング。しかも右膝を柔らかく使えていた。チェンジアップを打ったが、前の膝の柔らかさがあるから対応できるし、バッティングに重要な間ができてきた。西東京大会の映像も見たが、これまではボールに衝突する感じで間がなかったが、今日は自分の好きなゾーンにボールを呼び込むぞというような間があって、打席に立っただけで打てる感じがあった。成長というか、修正というか、進化というか。自分で考えて変えたとしたら、恐ろしい16歳。今日の清宮なら高校時代の松井秀喜より間違いなく上。松井になかったやわらかさもパワーも兼ね備えている」 西東京大会から、タイムリーで打点は稼いでいたが、待望のホームランは不発だった。バットの出が柔らかくコンパクトだが、フォロースルーがほとんどないため、打球をバットに乗せる、運ぶというアーチストの素養は見られなかった。打球に角度がつかなかったのである。しかも、ややオープン気味のスタンスから右足を上げて、クロス気味に踏み込んでいくため、バットを前へ押し出す右手の使い方がうまくいかず、“間”が作れず、インサイドと縦の変化にウイークポイントをさらけだしていた。掛布氏もそれらの課題を指摘していたが、甲子園に来て短期間の間に、フォローが生まれ、“間”もできてきたという。脅威的な成長力である。甲子園1号と、2本の長打は必然だったわけだ。