“路上ライブ”は騒音?心地よいBGM?是非を考える 賛成派「性癖のようなもの。誰もいなくてもやる」 反対派「独特な空気感が苦手。SNS告知は『犯罪予告』だ」
■路上ライブ反対派「SNS告知は『犯罪予告』だ」
反対に路上ライブを嫌う人もいる。パピ4(パピヨン)さんは、「ライブしている人とファンの独特な空気感が苦手」といい、最寄り駅でほぼ毎日、路上ライブが行われているが、「ライブを撮っている人も気持ち悪い」「仮に良い曲をやっていても近づきたくない」と手厳しい。 とくに気になっているのが空気感だ。「法にのっとっていない行為をしているにもかかわらず、主張が強い。法を破るなら、もっと控えめにしないといけないが、SNSでも押しが強いのはおかしい」と主張。 また、SNS上での路上ライブの事前告知については「ほぼ犯罪予告だ。ゲリラ的にやるならまだしも、告知でファンを集めて、交通の妨げになる」と話す。なお屋内などでのライブには参加経験がなく、「YouTubeで見る程度」だそうだ。 この意見を聞いた、モデルでラジオナビゲーターの長谷川ミラは、リアルとネットの違いについて「音楽ライブでは、音楽配信サービスとは、全く別物の体感を得られる。パピ4さんがライブの良さを感じて、それでも路上ライブが嫌いなのであれば、納得できた」と語った。
■路上ライブ出身のアーティストも多数 落とし所は…
路上ライブ出身の有名アーティストは数多い。メジャーデビュー後も路上ライブに数千人を集めた「ゆず」や、厚木・海老名などで路上ライブしてきた「いきものがかり」、大阪城ホール周辺や梅田などで弾き語りをした、あいみょんや、キーボード弾き語りが注目されてメジャーデビューした奥華子らがいる。大阪出身5人組ロックバンド「Novelbright」のように、デビュー後の路上ライブがSNS等で拡散され、人気が爆発したケースもある。
最近では、路上ライブを解放している施設もある。東京・新宿の「東急歌舞伎町タワー」では、1階敷地内で公認ストリートライブ「Kabukicho Street Live」を行っている。無料・登録制で、ミュージシャン・シンガーらが対象(プロ・アマ/オリジナル楽曲有無不問)。予約1枠あたり60分(準備・片付け時間含む)のライブができる。 長谷川は「『売れたい』と思う人が、1人でも多くの前でパフォーマンスしたいのは当然だ」といい、「イギリスにはライセンス制度があり、上手じゃなくてもオーディションを通れば、地下鉄や広場でパフォーマンスの許可が下りる。そこに『うまい』『下手』のジャッジはない。日本でもいきなり逮捕せず、アーティストを守れる形があるのではないか」と提案した。 作家でジャーナリストの佐々木俊尚氏は、「『売れなくてもいいから、路上でライブしたい』という人に、間違っているとは言えない」とした上で、「法的にグレーな部分を、どこまで社会で許容するかを考えなくてはならない。『完全に白でないと』となると、息苦しい社会になる。しつこくやれば逮捕されるかもしれないが、大音量ではなく『路上の片隅で歌う』程度は許容した方が、健全な社会になる」と述べた。 (『ABEMA Prime』より)