健康寿命と睡眠 就寝1~2時間前からスマホ使用を控えるのが◎ 週末の寝溜めでは睡眠負債解消できません【医師が解説】
睡眠は健康寿命を延ばすために非常に重要です。十分な睡眠は、感染症やがん罹患、心血管疾患や糖尿病、肥満のリスクを減少させます。 睡眠は脳の健康にも欠かせません。睡眠中に脳は情報を整理し、記憶を定着させ、老廃物を排出します。このプロセスがうまく機能しないと、認知症やアルツハイマー病のリスクが増加します。 一般的に適切な睡眠時間は7~9時間とされていますが、睡眠の質も重要で、質の向上には快適な睡眠環境を整えることが不可欠です。遮光カーテンを使って外部からの光を遮り、エアコンで室内温度を適切に保ち、体に合った枕や布団を選ぶことで眠りの質が向上します。 就寝前のスマートフォンの使用によるブルーライト暴露は、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を妨げ、入眠を難しくします。睡眠の質の向上には、就寝1~2時間前からスマートフォン使用を控えるのがお勧めです。 また、入浴は睡眠に良い影響を与えることが知られています。お風呂に入ることで体温が一時的に上昇し、その後に体温が下がることで自然な眠気を促進します。リラックス効果もあり、入浴はぬるめのお湯で就寝の2~3時間前に行うのが最適とされています。このタイミングで入浴することで、体温が適度に下がり、入眠がスムーズになります。 睡眠負債をためないことも重要です。週末に寝溜めをするだけではその負債を完全に解消することはできませんので、日常的に十分な睡眠を確保することが健康を維持するための鍵です。 かくいう私は睡眠負債とクリニックの負債を抱えていて、医者の不養生を実践している状態です。食事と運動は合格だと思っているのですが、睡眠に関しては落第で、解決策を思案中です。 ◆西岡清訓(にしおか・きよのり)兵庫県尼崎市の「にしおか内科クリニック」院長。呼吸器、消化器疾患を中心に一般内科診療などを行っている。