24年ぶりに復活! ホンダ新型「プレリュード」はクルマとの一体感が格上! ハイブリッドでも走りを楽しめるスゴい「強心臓&足回り」を搭載
キャビンに響き渡るホンダミュージック
さて、いよいよ試乗です。ホンダのe:HEVではお馴染みのボタン式シフトセレクターで“D”を選んで、アクセルを踏み込みます。
まずは通常のDレンジで高速周回路を1周。スペックは公開されていませんが、2リッター直列4気筒エンジンと2基の電気モーターを組み合わせたe:HEVシステムは、「シビック」や「ZR-V」などと基本的に共通と考えられます。 参考までに「シビック」では電気モーターのスペックは最高出力184馬力、最大トルク315Nmです。 続いて、そのセレクターの脇にある“S+”スイッチを押す……と、エンジン音のボリュームが高まり、TFTメーターの表示が切り替わって、瞬時に臨戦態勢に。気分も一気に盛り上がります。 早速アクセルを踏み込んでいくと、違いはますます明確になります。まずサウンド。前述のとおりASCとの連携で室内には豪快なエンジン音、いわゆるホンダミュージックが響き渡り気分を盛り上げます。 パワーメーターに代わって備わる回転計は6000rpmからイエロー、6500rpmからレッドという表示。Dレンジではシフトアップが自動的におこなわれますが、このときに音の変化だけでなくなんと軽いシフトショックが伴うのも“ホンダS+シフト”の大きな特徴です。実際には一瞬だけモータートルクを絞って、リアルな変速感を演出しているわけです。 一方、減速時にはブリッピングを伴うシフトダウン的な制御がおこなわれます。従来の“リニアシフトコントロール”は減速時にはこうした演出はおこなわれていませんでしたので、案外こちらの方が差は明確かもしれません。 しかも、コーナリング中にはエンジン回転数を高めでキープします。これは単なる演出ではなく、しっかり発電してコーナー立ち上がりの加速に備えるという機能的な意味も伴います。 加速も、減速も、そしてそれによってコーナリングも、クルマとの一体感がケタ違い。これが試乗してみての印象です。実際の動力性能にはそれほど違いはないはずですが、クルマと対話できる要素が増えて、より能動的に走りを楽しめるようになった。そんないい方もできそうです。 こうした遊び心のある制御は、実はエンジンの効率性向上によって可能になりました。要するに、エンジンの燃費のいい領域が広がったことで、こうして回転を上げ下げしても悪影響が抑えられたということ。燃費向上を目指したら、その余裕で走りの楽しさも増したというわけですね。 ●「シビック タイプR」から流用された足回り そんな“ホンダS+シフト”を備えた新しいe:HEVも大いに楽しませてくれましたが、新型「プレリュード」のプロトタイプはフットワークもとても痛快な仕上がりでした。正直、期待以上! コーナーに向け、リムの断面形状を変更して絶妙の握りやすさを実現したステアリングを切り込むと、ノーズがズバッと鮮やかにインを向きます。最初は思わず「オーッ!」と声が出てしまいました。しかも初期応答が鋭いだけでなく、その先も行きたい方向にグイグイと切れ込んでいく。このコーナリングは実に刺激的です。 そんな走りの秘密は、まずひとつ目が見てのとおりの短いホイールベース。そして、ふたつ目がフロントに使われたデュアルアクシスストラットサスペンションです。実はこれは「シビック タイプR」からの流用で、高負荷域まできわめて高い接地性を保ち続ける優れものです。 「プレリュード」にとっては快適性も重要ということで、タイヤは比較的おとなしいコンチネンタル「プレミアムコンタクト6」が装着されていましたが、この基本素性のよさによって、それでも優れた運動性能を実現しました。正直、「ちょっとヤンチャかも?」と思えるほどの操縦性に、試乗中は笑いが止まらなかったのでした。 * * * なぜ今、「プレリュード」の名を復活させるのか。JMSのときにはまだ真意がつかめない気がしていましたが、今回の試乗で大いに納得できました。 期待を超える楽しさを実現したe:HEVの進化をアピールするには、既存モデルの改良版に積むのではなく、その魅力をフルに活かした新しいモデルで登場させるのが最適。まさしく新型「プレリュード」は、ホンダがハイブリッド車を見限ってなどおらず、むしろこれまで以上に力が入っていることを世に示すフラッグシップとして復活する。そんな風に考えられそうです。 今後、これまで以上に楽しませてくれそうなホンダのハイブリッド。その先陣を切る1台が、まさに“前奏曲”、新型「プレリュード」なのです。
島下泰久
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