仲間3人を失った人形劇団 東日本大震災後に「私たちもやりたい」…背中を押したのは
震災1年後、人形劇公演を再開
震災後、全国各地から支援団体が被災地を訪れ、歌や演劇で励ましてくれた。 ありがたいと思う一方で、別の感情が胸にあった。 「私たちもやりたい」 2011年の秋、生き残った仲間にそう打ちあけると、みんなが同じ気持ちだった。 人形や舞台を手作りし、震災から1年となる2012年3月に人形劇の公演を再開した。 子どもたちが喜んでくれると同時に、大人たちが目に涙をためて喜んでくれた。 「ああ、待っていてくれたんだな、と思うと私たちも涙が出た。そして、思ったんです。これでようやく、前に進むことができる、と」
ゆっくり焦らず、でも日々を大切に
震災後、新しいメンバーが2人加わり、今は8人で活動を続ける。 「ポレポレ」はスワヒリ語で「ゆっくり、のんびり」の意味だ。 「『当たり前』という日は1日もないことを、あの震災で学んだ。ゆっくり焦らずに、でも1日1日を大切に、日々を過ごしていきたい」 仲間と一緒に今日も人形劇を通じて子どもたちと向き合う。 (2023年11月取材) <三浦英之:2000年に朝日新聞に入社後、宮城・南三陸駐在や福島・南相馬支局員として東日本大震災の取材を続ける。書籍『五色の虹 満州建国大学卒業生たちの戦後』で開高健ノンフィクション賞、『牙 アフリカゾウの「密猟組織」を追って』で小学館ノンフィクション大賞、『太陽の子 日本がアフリカに置き去りにした秘密』で山本美香記念国際ジャーナリスト賞と新潮ドキュメント賞を受賞。withnewsの連載「帰れない村(https://withnews.jp/articles/series/90/1)」 では2021 LINEジャーナリズム賞を受賞した>