テスラ強気派の迷い深まる、EV普及のバラ色シナリオに狂い
(ブルームバーグ): 米電気自動車(EV)メーカー、テスラ株の買いを推奨するアナリストの割合が2021年4月以降で最低に沈んだ。強気派によるテスラへの支持が揺らいでいる。
EV需要失速の逆風が吹く中、イーロン・マスク氏が率いるテスラの見通しは今年に入り急速に悪化。今週には、中国勢との競争が激しさを増していることを示すデータが発表されたほか、ドイツ工場では火災による混乱で生産停止に追い込まれた。
その結果、テスラ株を担当するアナリスト59人のうち、買いを推奨しているのは20人にとどまった。またかねてテスラ強気派として知られるモルガン・スタンレーのアナリスト、アダム・ジョナス氏は、テスラが今年、自動車事業で赤字に転落する恐れすらあるとみている。
ジョナス氏は今週、リポートで「EVにとって厳しい年になる」と記述。テスラの2024年上期利益は予想に届かず、リテールと温暖化ガス排出枠(クレジット)関連の収入を除いたEV生産事業の利益率はマイナスになり得ると指摘した。また向こう1年の目標株価を345ドルから320ドルに引き下げる一方、投資判断は買いを維持した。テスラ株は今年に入り28%値下がりしており、足元では180ドル前後で取引されている。
もう一人のテスラ強気派、ロバート・W・ベアードのアナリスト、ベン・カロ氏も懸念を強めている。同氏は2020年10月からテスラの株の買いを推奨しているが、6日には1-3月(第1四半期)の出荷台数に関するアナリストの平均予想が「高すぎる」と指摘。テスラが値下げに積極的であることや、販売台数について明確なガイダンスを示していない点に触れ、短期的に需要動向の見極めが困難になっているとの考えを示した。
ブルームバーグがまとめたデータによると、テスラの1-3月出荷台数の平均予想は47万4000台余り。これに対し、カロ氏は約42万1100台と予測している。
株価は大崩れ
一方、株価は下げ足を速めている。テスラは週初から12%近く下げ、年初来でナスダック100指数構成銘柄の値下がり率トップに戻った。昨年10-12月(第4四半期)の決算発表で、今年は成長が著しく鈍るとの予想を明らかにした1月26日終了週に14%値下がりしたのに次ぎ、週間ベースで今年2度目の2桁のマイナスとなる見通しだ。