クルマで「鳩」をひき殺した運転手が逮捕の事件! 野生動物と衝突して殺傷したら「罪」に問われるのか?
鳩を故意に轢いたら逮捕!
2023年12月、東京都新宿区の路上で、クルマでハトを轢き殺したとして50代のタクシー運転手が逮捕された事件があった。 【画像ギャラリー】「象の横断に注意!」という驚きの標識 容疑は鳥獣保護法違反の疑い……。 鳥獣保護法は、「鳥獣の保護及び狩猟の適正化を図り、もって生物の多様性の確保、生活環境の保全及び農林水産業の健全な発展に寄与することを通じて、自然環境の恵沢を享受できる国民生活の確保及び地域社会の健全な発展に資すること」が目的の法律。 つまり「むやみに野生動物を殺傷してはいけないよ」、というルールだ。 通常は野生動物と接触事故を起こしても、ドライバーが罪に問われることはあり得ない。なぜなら道路交通法に動物を対象とした規定がないため。 ではなぜ上掲のタクシードライバーは逮捕までされたのか。それは逮捕されたタクシードライバーが、路上にいた鳩の群れに向かって加速して突っ込んでいき、鳩を跳ね飛ばしたため。その一部始終を歩行者が目撃しており、歩行者が警察に通報した結果、逮捕につながったとされる。 つまり、鳩がいるのを知った上で目前に加速したのは、故意に殺傷したしたということで鳥獣保護法違反の疑いがあると判断されたというわけだ。 減速したり(後方からオカマを掘られるリスクがあるが)、クラクションを鳴らしたりして、回避行動をするならともかく、加速したのは殺意(?)があると捕らえられたということだろう……。
野生動物を無闇に殺めるのは法律違反になる場合も!
通常は、動物と当たればクルマだって傷つくし、汚れるので、できれば避けたいところ。ただ、急ブレーキをかけるとオカマを掘られる可能性があるし、急ハンドルもクルマの挙動を乱したり、周囲のクルマやバイク、自転車などを危険にさらすことにもなりかねないので、予期せぬタイミングで野生動物が飛び出してきたら、「南無三」といいつつ速度一定、ハンドル角一定のまま通過するのがベター。 そして万が一、動物と当たってしまった場合は、警察への通報を忘れずに。ドライバーには事故発生を知らせる義務があるからだ。できれば道路緊急ダイヤル「#9910」にも連絡をして指示を待つこと。 衝突した動物が生きていたとしても、衛生面や安全面から素手で動物に触らないようにするのが肝要だ。 ちなみに、鳥獣保護法の対象となる野生鳥獣は、鳥類及び哺乳類に属するすべての野生生物(ネズミ・モグラ類、海棲哺乳類を含む)。 なかには狩猟鳥獣といって捕獲を認められた鳥獣もいるが、この狩猟鳥獣にしても法律の定める条件以外でわざと殺傷すると違法になるので要注意。もちろん、故意にクルマではねるのは対象外なのは言うまでもない。 狩猟鳥獣 ○獣類 タヌキ、キツネ、ノイヌ、ノネコ、テン(亜種のツシマテンを除く)、イタチ(オスに限る)、チョウセンチタチ(オスに限る)、ミンク、アナグマ、アライグマ、ヒグマ、ツキノワグマ、ハクビシン、イノシシ(雑種のイノブタを含む)、ニホンジカ、タイワンリス、シマリス、ヌートリア、ユキウサギ、ノウサギ(20種)。 ○鳥類 カワウ、ゴイサギ、マガモ、カルガモ、コガモ、ヨシガモ、ヒドリガモ、オナガガモ、ハジビロガモ、ホシハジロ、キンクロハジロ、スズガモ、クロガモ、エゾライチョウ、ウズラ、ヤマドリ(亜種のコシジロヤマドリを除く)、キジ(亜種のコウライキジを含む)、タシギ、キジバト、ヒヨドリ、ニュナイスズメ、スズメ、ムクドリ、ミヤマガラス、ハジボソガラス、ハシブトガラス(26種)。 また、持ち主がいる犬やネコをひいたとなると、物損事故扱いになるので、これまた警察への届け出が欠かせない。 いずれにせよ路上で動物と事故を起こしたら、まず警察に届けて指示を仰ぐようにしよう。
藤田竜太