アルゼンチン大統領選を受けて:ビットコイナーが誤解していること
自由?
しかし、経済的にも社会的にも、波乱万丈のプロセスになるだろう。ミレイ氏は、社会主義の束縛や、無駄な支出によって票を買おうとする自暴自棄な政府からの「自由」を約束する。 ミレイ氏は自由市場と自由貿易を支持している。ミレイ氏の「個人の自由」をめぐるレトリックは、怒れる人々の心を打つ。これらはすべて私が支持できる自由だが、私たちの多くが当然と思っている他の自由を犠牲にする可能性があることを認識しなければならない。 ひとつは、金銭的自立だ。ミレイ氏はドル化を公約として立候補した。ドル化は少なくとも、基本的な業務にさえ支障をきたしている為替危機を解決するものだ。しかし、必ずしもインフレからの救済をもたらすとは限らず、世界の超大国の矛盾した金融政策に国を縛り付けることになる。 もうひとつはリプロダクティブ・ライツ(性と生殖に関する権利)である。ミレイ氏は断固として妊娠中絶に反対しており、14週以前の望まない妊娠を終了させる女性の権利を廃止するための国民投票を実施すると公言している。ミレイ氏はまた、社会主義やフェミニズムに対する「文化的な戦い」を約束した。不吉な予感がするのではないだろうか? ミレイ氏とビクトリア・ビヤルエル(Victoria Villarruel)次期副大統領が政治的には極右であることを忘れてはならない。両者ともアルゼンチンの独裁政権時代に行われた残虐行為を軽視し、犠牲者を追悼する博物館の解体を提案し、犯罪に対する「ゼロ・トレランス(厳しい罰則)」を強調している。政府に賛同するものだけに適用される「自由」は、本当の自由ではない。
成長?
成長がどのようにして実現されるかは、はっきりしない。ミレイ氏は、2番目の貿易相手国である中国との関係をすべて断ち切ると語っている(ミレイ氏は中国人を「暗殺者」と呼んでいる。それに比べれば「独裁者」は、おとなしく聞こえるということか)。 また、ブラジル(アルゼンチンにとって最大の貿易相手国)、コロンビア(5番目に大きな貿易相手国)、チリといった「共産主義」の隣国とは、民間部門の取引は継続できるものの、対話すら拒否すると述べている。 過去60年で最悪の干ばつにより、アルゼンチン最大の輸出品である大豆製品の生産量が減少している今、ドル化による通貨の混乱は、同国の歳入に大きな打撃を与える可能性が高い。 喜ぶべき国際機関は国際通貨基金(IMF)だ。アルゼンチンはIMFの最大の借り手であり、債務残高は第2位(エジプト)の2倍以上。IMFは緊縮財政を促しており、ミレイ氏は喜んでそれを実現しようとしているように見える。しかし、財政が健全化するまでは、緊縮財政は成長を阻害する。必要なことかもしれないが、痛みを伴う。 また、ミレイ氏には指導者としての経験も、ビジネス経験もほとんどなく、議会で数年過ごしただけであることも念頭に置く価値がある。 ミレイ氏の経歴はテレビのコメンテーターと経済学の教授であり、国どころかチームを管理する能力すらわからない。また、タントリックセックスの教祖だったことがあり、コスプレが趣味だと伝えられている。斬新さは評価できるが、カーニバルのような統治アプローチが国の評判を落とすことは、他で見てきたとおりだ。それに、国民を疲れさせる。