石狩にロープウエー?「気になる」事業
今週のけいナビの特集は、将来実現するかもしれない「気になる」事業について。石狩市のロープウエー構想や札幌市内に環状の高速道路を設ける構想、再び動き出したMICE(マイス)施設整備構想を取り上げる。 まず取り上げるのはロープウエー構想。札幌と石狩の間をロープウエーで結ぶという内容だが、背景にあるのは市内に軌道系の公共交通網がないという問題だ。バスは運行しているが運転手不足に伴う減便、冬場の遅延・運休が課題となっている。 現在浮上しているルートは、JR手稲駅、地下鉄南北線麻生駅、地下鉄東豊線栄町駅を発着地とする3案。用地取得の必要がないことから、ロープウエーはモノレールなどほかの軌道系交通網の5分の1ほどで整備が可能。コスト面のメリットが大きい。 課題もある。石狩は洋上風力発電設備が建設されたことからも分かる通り、風が非常に強い。市の担当者も「課題は風と雪」と話す。ただ、全国的には新たな交通網としてロープウエーを導入しようとする動きは見られ、実際に導入した例もある。
遊戯施設経営などを手掛ける泉陽興業(大阪)が、横浜市内で導入した都市型循環式ロープウエー「YOKOHAMA AIR CABIN」。2021年に開業、運行から3年間で約450万人が利用した。 みなとみらいのアトラクションという側面が強いが、JR桜木町駅と運河パークまでの630メートルを5分で移動できるとあり、国内外から自治体関係者が頻繁に視察に訪れる注目の移動手段だ。 2本のワイヤーロープを使用し自走できるロープウエーも誕生しそうだ。ジップ・インフラストラクチャー(福島県南相馬市)が開発する「ジッパー」は、走行中のトラックが横転する危険があるとされる風速30メートルまで対応。これなら石狩でも運行できる可能性が高い。 加藤龍幸市長は、「夢のある事業なので何とか具現化したい」と説明。再生可能エネルギーの街を掲げていることから、動力には風力発電などで作った電気を積極的に活用したいとする。 続いての「気になる」事業は、札幌市内に環状の高速道路を設ける構想。バスやタクシーを運行する北都交通(札幌)の渡邊克仁社長ら経済界有志で組織する「札幌環状型高速交通体系について考える会」が昨年、市に要望書を提出した。