安全性に勝るものはなし! 法規は満たしているけど……デザイン優先の低すぎるリヤのウインカーはやめるべき!!
ウインカーの位置は法律で決められている
クルマを安全に運行するには、自車の走る方向を他車に明確に伝えて、互いの意思疎通をハッキリと行う必要がある。 【画像】トヨタ・ハリアーの見えにくいリヤウインカーの画像を見る その方法のひとつが方向指示器(通称ウインカー)だ。交差点の右左折や車線変更など、車両が進行方向を変えるときは、必ず方向指示器を作動させる。方向指示器を作動させずに進行方向を変えると、交通事故の危険が高まる。 方向指示器の取り付け位置も大切だ。後続車や歩行者から見やすい位置に装着せねばならない。とくに最近は、ミニバンやSUVが増えて、ドライバーの視線が全般的に高まった。方向指示器を低い位置に装着していると、後続車からの視認性を悪化させてしまう。 その意味で方向指示器の取り付けが難しいカテゴリーは軽トラックだ。小型/普通車サイズのトラックに比べて荷台が低く、その上側にはアオリと呼ばれる枠が装着されるため、方向指示器やブレーキランプを低いリヤバンパーに内蔵させる。これは仕方ないが、後続車からの視認性はよくない。 バンタイプの軽商用車とこれをベースにしたワゴンなら、見やすい位置に装着することも可能だ。かつてホンダが扱っていた軽商用車のアクティバンは、方向指示器やブレーキランプを低い位置に装着したが、これをベースにしたワゴンのバモスは取り付け位置を高めていた。小型/普通商用車のハイエースも、方向指示器やブレーキランプを比較的高い位置に装着している。 リヤゲートの開口幅を最大限度に確保して、コストも抑えたい場合は、商用バンでもトラックと同じく低い位置に装着するのが合理的だろう。それでも安全を考えると、取り付け位置を高めることも検討したい。
デザインよりも安全性を考えるべき
しかしトヨタ・ハリアーは乗用車なのに、方向指示器が後続車から見にくい。その理由は、テールランプとブレーキランプは高い位置に装着されるのに、方向指示器だけが低いバンパー部分に付いているからだ。 軽トラックならブレーキランプは方向指示器と同じく低い位置で点灯するから、方向指示器が低くても違和感はない。ところがハリアーでは、ブレーキランプは一般的なSUVと同じく高い位置で点灯するのに、方向指示器だけが低い位置で点灯する。後続車両のドライバーが、頻繁に高い位置で点灯するブレーキランプを見慣れると、方向指示器もブレーキランプの付近で点灯すると思い込む。 それが実際は、方向指示器だけが低い位置で点灯するから見落としやすい。とくに渋滞時は、車間距離も短く詰まっているため、ブレーキランプよりも低い位置に装着される方向指示器は一層見にくい。 そこでハリアーの開発者に、ブレーキランプやテールランプは高い位置に装着されるのに、方向指示器だけが低い位置に付いている理由を尋ねると「横一文字の端正で美しい後ろ姿を表現したかったから」と返答された。 方向指示器の位置は、当然ながら保安基準で定められ、下端部の路面からの高さは350mm以上とされている。ハリアーもこの基準はクリアするが、方向指示器だけがブレーキランプやテールランプから離れて低い位置にあると、後続車から見にくいことは確かだ。 いまはLEDの採用で、横一文字の美しいテールランプを生かしながら、方向指示器も内蔵させることが可能だろう。テールランプは、方向指示器、ブレーキランプを問わず、後続車からの視認性を最優先してデザインすべきだ。
渡辺陽一郎