2023年のIPO社数は96社、IPO企業は「高いポテンシャル」が数値として現れる
設立から上場まで、前年より1.3年伸長。社長平均年齢は全体より若い50代前半の傾向続く
2023年IPO企業の設立から上場までの期間は平均17.8年で、前年(16.5年)から1.3年伸長しました。 他方、2023年IPO企業の社長の平均年齢は前年(51.2歳)から0.4歳上昇し、51.6歳となりました。 ただし、全体の社長平均年齢を10歳近く下回る水準で推移しており、年代別にみると、「50代」が最も多く全体の3割を占めています。
2023年IPO企業の6割がスタートアップ企業。「インパクトIPO」も複数社みられる
「出口戦略」(イグジット、EXIT)としてIPOを目標に据えているスタートアップが多いなか、2023年IPO企業96社のうち「スタートアップ企業 」は60社と、全体の62.5%を占めました。 なかでも、2023年4月に民間初の月面着陸を目指したispace(東証グロース)は大きな注目を浴びました。 また、法人向けのChatGPTプラットフォーム「ChatMee」などを提供するAVILEN(東証グロース)の代表取締役である高橋光太郎氏は、2023年IPO企業のなかで唯一20代社長となりました(2023年終了時点の年齢)。 ほかにも、社会課題の解決を掲げる企業の上場、いわゆる「インパクトIPO」も複数件みられます。 NPOとして創業した企業がIPOを果たす初めてのケースとなった、産直ECプラットフォームを運営する雨風太陽(東証グロース)のほか、社会・環境に関する一定の要件を充足した企業への国際的な認証制度「Bコープ」認証企業として初のIPO企業となった社会貢献型フードシェアリングプラットフォームを提供するクラダシ(東証グロース)などがあげられます。
2023年IPO企業は、3年後に売上高が1.5倍以上となる可能性が高い企業割合が全企業の約7倍に
帝国データバンクが有する信用調査報告書(CCR)の情報をもとに、「その企業の売上高が、3年後に1.5倍以上になるか否か」を予測する成長性予測モデル「SP」を用いて、IPO企業の成長性を分析しました。 その結果、分析が可能な全24万社と比較して、IPO企業では高いポテンシャルが数値として現れる結果となりました。 2023年12月時点において、3年後に売上高が1.5倍以上になる可能性 が最も高い「SPレベル10」の割合は、全企業 では7.1%だったのに対して、2023年IPO企業群では48.4%と全企業の約7倍にのぼっています。 IPOを果たす3年前である 2020年以降、各時点のいずれも同様な結果がみられています。
上場日程を決めるルールなどの変更に加え、国内株式市場が堅調に推移するとの予想などが2024年のIPO市場の追い風となる
ロシアによるウクライナ侵攻やハマス・イスラエル紛争の長期化といった地政学上の不確実性の高まりなどで2024年も投資マネーの勢いの弱さは引き続き懸念されます。 しかしながら、2023年10月に行われた、IPO企業にとってメリットが大きいと言われているIPOの公開価格設定プロセスや上場日程を決めるルールの変更に加え、国内株式市場が堅調に推移するとの予想などが2024年のIPO市場の追い風となることが期待されています。