「ウソだろ」な連続ドラマ『新空港占拠』プロデューサーを直撃! 視聴者の「考察」を意識してストーリーを変えることはある?
――共演者の中でのリアリティやサプライズもあるわけですね。占拠シリーズではそれが顕著なんですけど、今後の連続ドラマの方向性は、SNSなくしてあり得なくなっていくのでしょうか? 尾上 そうですね。うまく共存していかなきゃなとは思いますね。テレビとかメディアのひとつにSNSがあって、今はメインになってきているので、うまく媒体とSNSとの協力というか、双方向性を模索できれば。お互いにそれを活用しあいながらつくって、盛り上げていくことになる気がします。 ――『大病院占拠』にしろ『新空港占拠』にしろ、TVerでは総合&ドラマランキング1位を獲得し、お気に入りの登録者も100万人を突破しています。 尾上 情報量がすごく多いドラマなので比較的繰り返し見て、ここはどうだったのか、このときはどんな表情をしているのか、ここにつながっているのか、ここにヒントがあるのかっていうのを意図的に散りばめているので、放送開始前から何回か繰り返してみたくなるのかなっていう思いはあったんですけどね。 ――ご自身のキャリアの中で、占拠シリーズはどんな位置付けになると考えていますか? 尾上 過去に担当した『ボイス 110緊急指令室』シリーズ(2019年・2021年)、『レッドアイズ 監視捜査班』(2021年)のように、警察もの、タイムリミットものみたいなものは何回かつくってきたんですけど、それに篭城(ろうじょう)ものとか病院ものとか、自分のやりたいことを詰め込んでいるので、自分にとっては大きな位置になることは間違いないですね。次に向けての大きな経験になると思っています。 ――尾上さんが過去に影響を受けたドラマや映画で、今回の占拠シリーズにつながっているものはありますか? 尾上 あるにはあるんですけど、どれが一番かと言われると......。ハリウッド作品、韓国ドラマ、日本の優れたドラマをいっぱい見てきてはいるので、どれかひとつではないし、ひとつを挙げて言ったとしても、決してそれをフォーマットコピーしたというわけではないので。 ――では、尾上さんの好きな映画や製作者は? 尾上 強いて挙げればウォン・カーウァイやクエンティン・タランティーノです。 ――最後に、視聴率はどの程度取りたいと考えていますか? 尾上 もちろん高いほうがいいんですけど、具体的な目標の数字は特にないですね。というのは、もはや基準があいまいというか、過渡期だと思うんです。これだけ地上波の立ち位置が変わってきている中で、数字を具体的に言える感じじゃないと思います。 数字の基準も違うし、周りからの認められ方もこれからは変わってくると思います。今はまず、視聴者をドキドキハラハラさせて、どうやって武蔵刑事に最大級の「ウソだろ」を言ってもらえるのかを考えているところですね。 取材・文/“Show”大谷泰顕