【ステイヤーズS】長距離戦にピッタリの血統 本命は7歳にして充実期迎えたダンディズム
前走の敗因:福島記念のダンディズム
ダンディズムの前走は福島記念で、結果は2着。テーオーシリウスが逃げて前半5F59.5、後半5Fが61.4の前傾1.9秒というラップ構成で、福島記念としてはかなりハイペースな流れになった。 その結果、上位入線馬は軒並み後方待機の馬。勝ったホウオウエミーズは追い込みの競馬、ダンディズムも3コーナーまでにジワっと進出して3~4コーナー中間で捲り上げる形。先行勢は総崩れになり、展開的にはダンディズムに向いたとも言えるが、本馬はスタートでかなり後手を踏んでしまっており、加えて2000mの流れは少々速い感じもあって追走に苦労していた。 前走福島記念組は【0-0-0-3】で相性が悪いが、本馬は2走前が丹頂S2着。今回は3600mへ一気の距離延長となるが上積みの方が大きいだろう。
血統解説:キングズレイン、ダンディズム
・キングズレイン 日本での牝祖は祖母リッスン。リッスンはGⅠフィリーズマイルの勝ち馬で牝祖としての実績は十分。本馬の母タッチングスピーチはローズS勝ちに加えエリザベス女王杯3着、その全弟には共同通信杯3着のムーヴザワールドや菊花賞2着のサトノルークスがおり、リッスンは繁殖牝馬としても優秀だ。このファミリーは3代母のBrigidから世界各国で抜群に繁栄していて、リッスンの枝はこれでも目立たない部類だ。また、日本ではJpnⅠのJBCレディスクラシックを勝ったファッショニスタなどが別の枝にはいる。 この牝系はなんといっても早熟性の高い馬が多いことが特徴。前述のファッショニスタ以外のGⅠ級の馬たちは総じて2、3歳の頃からバリバリ走ってくる。しかし、成長力を兼ね備えているわけではないため、古馬になってから少し尻すぼみな成績になってしまう傾向にはある。 本馬の場合は父がルーラーシップなのでどれだけ成長力を獲得できているかがポイント。ただ、2歳時から完成度の高さを見せており、前走セントライト記念ではあまり成長が感じられなかったことからも、牝系の血が色濃く出ていそうだ。一族の活力は抜群だが、上積みを期待されて人気するようであれば軽視したい。 ・ダンディズム 日本での牝祖は母ビューティーコンテスト。兄にはOP競走のポートアイランドSを勝利したムーンクレストがいて、繁殖牝馬としての実績は十分だ。牝系を遡ると3代母Sorbusを根幹として世界中で繁栄しているファミリーで、パリ大賞などGⅠ・4勝のBeat Hollow、シュネルマイスターの父KingmanなどGⅠ馬がずらりと並ぶ。 欧州の血統の中では比較的スピードのある一族だが、本馬の場合は3代母からラストタイクーン→シングスピールとつけられており、明らかにタフさやスタミナに適性が振れている。また父はスタミナを持ち、母の血を引き出しやすいマンハッタンカフェで、長距離戦を走るにはもってこいの血統といえるだろう。 既に7歳馬だが欧州血統のマンハッタンカフェ産駒らしくまさに今が充実期。アルゼンチン共和国杯、日経新春杯、目黒記念など中長距離のGⅡレースでは跳ね返されていることもあって、そこまで人気にならなそう。妙味から考えても面白い一頭だ。