地下鉄の駅崩壊惨事が発端…8週間目に入ったセルビア反政府デモ
セルビアで反政府デモが拡散してバルカン半島の情勢が急変している。先月初め不良工事に伴う地下鉄駅舎崩壊惨事をきっかけに始まったデモは、政府与党の親ロシア路線に対する不満などに拡大する様相だ。 【写真】数万個のライトで埋め尽くされたスラビヤ広場の様子 23日(現地時間)、ロイター通信などによると、この日セルビア首都ベオグラードのスラビヤ広場は約2万9000人余り(セルビア政府推算)のデモ隊で埋め尽くされた。デモ隊は先月1日、セルビア「第2の都市」ノビサド市での駅舎屋根崩壊によって6歳少女ら15人が亡くなるなど惨事が発生し、事故の原因が「政府の不正腐敗のため」としながら政権退陣を叫び始めた。最初のデモから8週目を迎えてデモ隊の規模も次第に拡大していると現地メディアは伝えた。 屋根崩壊事故が発生した駅は1964年に建てられて老朽化が深刻だった。最近3年間の補修工事を終えた後に再開場したが、その後4カ月も経たないうちに今回の惨事が発生した。これに関連して、デモ隊は「中国国営企業が参加した政府の鉄道現代化プロジェクトの一環として駅を2回も改造したが、その過程で不良工事があった」とし「それでも捜査対象として逮捕された高位官僚ら13人のうち一部が解放されるなど政府の不正腐敗が深刻だ」と批判の声を高めた。 この日デモを主導した大学生と野党連合は「街頭に出てきて不正に対抗しよう」という内容のカードを持って「泥棒ども」「(大統領)アレクサンダル・ブチッチを逮捕しろ」「お前(ブチッチ)の手に血がついている」などのスローガンを叫んだ。この日あるデモ参加者はAFP通信に「政府は学生たちのすべての要求を聞き入れなければならない」とし「この悲劇に対して責任ある人々を裁判に立たせる」と話した。 セルビアの人気芸能人がデモに参加して国民的関心も高まった。俳優バネ・トリプノビッチさんは今回のデモを「自由の祭り」としてデモ参加を促した。 ◇「独裁政治に対する不満反映」 セルビア政府も強硬鎮圧に出る雰囲気だ。当初ブチッチ大統領は「野党が学生たちを動員してデモを行った」として警察にデモ参加者全員を逮捕するように指示していた。だが、デモが別の地域にも拡散し、ブチッチ大統領は11日記者会見を通じて「全員の赦免と捜査資料公開」を約束した。それでも反発が続き、ブチッチ大統領は今度は「デモに参加すれば起訴される」と脅した。 APは今回のデモの背景に関連して「ブチッチの独裁政治に対する市民の不満が反映されたため」と伝えた。2017年から執権しているブチッチ大統領と与党セルビア進歩党が公式的には欧州連合(EU)加入を推進しながらも、ロシアとの伝統的な関係を重視してウラジーミル・プーチン大統領の権威主義を容認するなど親ロシア的な行動を取っていて議論になっている。 また、セルビア野党圏は「政府の蔓延した腐敗、組織犯罪との癒着、縁故主義、過度な官僚主義などが複合的に作用した結果」として政権退陣の声を高めている。