堀ちえみ、がんで舌の6割以上を切除で「『イス』の2文字がうまく言えなかった」 苦悶のリハビリに涙
ステージ4の口腔がん(舌がん)から闘病生活を経て、2020年9月に芸能界に復帰した、歌手でタレントの堀ちえみさん(57)。メディア出演や講演活動、書籍を通してがんの実体験を伝えているほか、昨年は本業の歌手で芸能活動40周年記念のライブを開催。今年も10月に「CHIEMI STYLE 2024 Autumn」を渋谷で行うなど精力的に活動している。がんにより、見える景色が手術前とまったく変わったという堀ちえみさんが、壮絶な闘病生活、芸能界に復帰した理由などを語ってくれた。 【写真】セクシーなドレス姿で熱唱する堀ちえみはこちら * * * ――今日は講演活動の後にインタビュー取材を受けていただき、ありがとうございます いえいえ、言葉を多く話した後の方がスムーズに話せるんですよ。私のしゃべり方で分かると思うんですけど、手術前のしゃべり方と全然違う発声法になりました。頭の中で一度使う言葉を母音と子音に分けて音を出している感覚ですね。もう慣れましたけど、最初は大変でした。 ■「ありがとう」も音の組み合わせで言いづらい ――発声法は具体的にどのように変化したのでしょうか 口腔がんで舌の6割以上とリンパ節を切除し、太ももの組織を移植して再建する大手術を受けました。その後に舌の先(舌尖/ぜっせん)が壊死していたので、切り取らなければいけなくなって。舌の先を動かすことで不明瞭な言葉がクリアに聞こえるのですが、私は舌尖がないのでうまく言葉を出せない。手術後のリハビリで最初は「あ」から「ん」まで一文字ずつ毎日発声練習をしました。ら行が苦手だったので、舌をタッピングするようにして、「らっらっらっ」「るっるっるっ」と繰り返して。 その後に「サル」「リス」とか2文字の単語に挑戦して。苦手な音が前に来るか、後に来るかで発声のストレスが全然違うんです。例えば、「スイカ」はスムーズに言えても、「イス」がうまく言えない。「ありがとう」も音の組み合わせで言いづらいんです。でも苦手だから遠ざけているといつまでもしゃべれない。掃除しているとき、食器を洗っているとき、とにかく発声を繰り返していました。