声も出ず、腰痛も耐え難い…それでも老化を信じたくない大藪春彦賞作家が困窮から犯した「とんでもないミス」【「鶯谷」第二十四話#2】
前編記事【「書き上げるまで、殺されないで下さいね」…無頼派を装う大藪春彦賞作家に大ヒットを狙う担当編集者が手を染めた「鬼畜の所業」】より続きます。 【写真】大胆な水着姿に全米騒然…トランプ前大統領の「娘の美貌」がヤバすぎる!
老化ではない、と信じたい
声が出なくなった。 喋れないわけではない。 相手に届く声量で喋れないのだ。 メンタルを病んでいるのではない。 そう思いたい。 確かに安定剤や睡眠薬や抗うつ剤を常用している私であるが、それは何年も前からのことであり、声量が落ちたのは最近のことだ。 理由として考えられるのは、他人と会話を交わす機会がめっきりと減ったからであろう。 声の出し方が分からないのだ。 老化が原因ではない、と信じたい。 齢を重ねると声が大きくなるというのが常識ではないか。 耳が遠くなるのが原因であうが、私の場合は、声が小さくなっているのだ。 断じて老化ではないと信じたい。 もちろん老化を疑う気持ちがないわけではない。 単語を忘れることが度々あるのだ。 忘れるというより出てこない。 思い出そうとして言葉が閊(つか)えてしまう。 (やはり老化が原因なのかな? ) 疑ってしまうほどの柔軟性は持っている。
それくらい我慢しろよ?
毎朝、亀戸駅の始発電車を利用する。 同じ電車を利用する高齢者とも顔馴染みになった。 小声で、 「おはようございます」とか「お先です」とか言葉を交わすことあるが、それは電車の乗り降りの時やエレベーターを譲り合う時に限られる。 亀戸駅前公園で顔馴染みになった老婆とすれ違うことがある。 互いに黙礼を交わすだけだ。 暖かくなって始発電車の利用者が増えた。 日曜日を除いては、亀戸から乗換駅の曳舟駅までは特筆するほどの問題はない。 しかし日曜日は違う。 普段見かけない乗客が多く利用する。 彼らは我先にとエレベーターへと急ぐ。 杖に頼る私は急げない。 結果としてエレベーターを一本見送ることになる。 これが曳舟から浅草に向かう電車となると余計ひどくなる。 日曜日だけではない。 平日でもかなり混みあうのだ。 優先席も関係ない。 曳舟駅から浅草まではたったの2分ほどだ。 (それくらい我慢しろよ) と、思われるであろうか?
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