長澤まさみ主演で映画にもなった「祖父母殺害事件」…孫たちがじいじ・ばあばに殺意を抱く「憎しみの理由」
ささいなことで愛は憎しみに
動機としてあげられるのは、介護苦や金銭問題、虐待などで相手に恨みや不満を抱いていた場合などが多いとみられる。 「いくら祖父母と孫との関係であっても、適度な距離を保つことが大切です。祖父母と孫との関係性において、過剰に相手に期待したり、依存したりすることがあります。最初は愛情がベースにあっても、それが憎しみに変わることはままあります」(出口教授) 例えばこんな時だ。祖父母の介護を両親が孫に強いたことで介護離職したり、進学や結婚を諦めたり。介護を強いられたことが負の感情を強く抱くきっかけになる場合だ。 さらにしつけと称した虐待や、価値観の違いなど、祖父母と世代間での亀裂を深めていくことも珍しいことではない。 一方、可愛がりすぎることも度を越せば事件のきっかけとなる。孫の要求に応じ、小遣いや欲しいものはなんでも与えたり、わがまま放題にさせている祖父母も要注意。要求が通らなければ孫は「裏切られた」という感情を抱く。ひどい場合は逆恨みする可能性があるからだ。 些細なことで愛は憎しみに変わるーー。 中部地方に住む40代の主婦、陽子さん(仮名)は「祖母の死をずっと願っていました」と明かす。もともとおばあちゃん子だった陽子さん。だが、成人してから祖母への愛情は憎しみに変わった。陽子さんが祖母に殺意を抱く背景には、兄弟間の差別、そして押し付けられた介護があった。 つづく後編記事『些細なことで愛は憎しみに変わる…40代女性が告白「祖母の死をずっと願っていた」深刻なワケ』では、孫に殺されないために“祖父母が知っておくべきこと”について、紹介します。
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