マツダ・ロードスター 玄人好みの商品改良でどう変わった? NDのモデルライフ9年目へ(1)
911と同じ? 減速側強めの新LSD
S以外のMTモデルに標準装備されるLSDはこれまでの円錐クラッチタイプから新開発のアシンメトリックLSDに変更されている。アシンメトリック=非対称というネーミングでも想像がつくように加速側と減速側で異なるロック率を特徴とする。 この手のLSDは珍しくないが、通常は加速側を強め、減速側は回頭性を考えて弱めにセットするのが常識といえる。だがLSDの製作を手掛けるGKNとマツダが共同開発した新型のLSDは減速側のロック率の方が高められているという特徴がある。 これは回頭性こそ高いが減速旋回時にリアが持ち上がって不安定になりやすいというロードスターのハンドリング特性を補完するようなセッティングといえる。このような減速側強めの特殊なLSDセッティングは、例えば空冷時代のポルシェ911が採用していたことでもわかる通り、リアのスタビリティ確保を最優先したものといえる。 試乗前の説明ではニュルブルクリンクでテストしたLSDの効きのデータを見せてもらうことができた。イニシャルトルクをコイルスプリングによって担保する旧型のLSDは急激にパワーが掛かった際に差動制限が甘くなっている領域が多く見受けられたが、新型は全域で効きが安定していたのである。 果たして今回の試乗ステージである箱根のワインディングでも新型LSDの効果は体感できるのだろうか? 後半へ続く。
吉田拓生(執筆) 小川亮輔(撮影) AUTOCAR JAPAN(編集)