「引退した競走馬の多くは行方不明になっている」問題を知った『ウマ娘』ファンにより“一匹の高齢馬”に集まった大きな支援「ゲームが社会を変えた」
繁殖馬は“安泰のセカンドキャリア”なのか?
これだけの数の馬の余生を支えるに至った『ウマ娘』パワーに感心するばかりだが、同時に私は疑問を抱いた。 「繁殖馬といえば“安泰のセカンドキャリア”というイメージがあるのですが、生涯飼育されるわけではないのですか?」 すると沼田さんは、残念そうな表情でうなずいた。 「繁殖の世界で貢献した馬たちを生涯飼育する仕組みは、実はまだ成立していません。3、4年して良い子が生まれなければ、ほかの馬と入れ替えになってしまいます。これはGIを勝った種牡馬も同じで、年間の種つけ回数が減ってくると生産牧場にはいられません」 引退するすべての馬が次のフィールドで活躍することは不可能とわかってはいるものの、華やかな舞台で名を上げた馬でさえ例外ではないという現実を耳にして、あらためてセカンドキャリア形成の難しさを感じた。 せめて長く競馬業界に貢献した馬の余生だけでも、業界内で支えることはできないのだろうか……? そう思うものの、容易く事情が変わらないのは世の常だ。
片野 ゆか/Webオリジナル(外部転載)