夫が「児童手当」をすべて使ってしまいます…受給者を私に変更したいのですが、無理なのでしょうか? 市役所では断られました…
中学校卒業までの子どもを養育する人には児童手当が支給されます。 児童手当は原則として父または母の「所得の高い人」が受給者となり、任意に変更することはできません。本記事では児童手当の趣旨や、受給者の条件などを解説します。
児童手当の制度概要
児童手当は、0歳から中学校卒業までの子どもを対象として、その養育者に支給される手当です。 ◆児童手当制度の目的 児童手当は、未来の社会を担う子どもたちの健やかな成長を目的としています。子育てにおいて重要な責任を持つ人に現金を支給することで、子育て世帯の経済的な負担を軽くし、子どもの生活を安定させることを目的としています。 児童手当の使い道は養育者に委ねられていますが、児童手当の制度の趣旨から考えると「子どものため」に使うのが望ましいといえるでしょう。 ◆児童手当の月額 子ども1人あたりの児童手当の月額は、子どもの年齢や人数によって異なります。基本的には図表1のとおりですが、養育者の所得によっては手当が減額されたり支給対象外となったりします(2023年11月時点の内容です)。
<図表1> こども家庭庁 児童手当制度のご案内より筆者作成
児童手当の受給者は原則として「所得が高い人」
子どもの養育者は両親の場合が多いので、今回はそのケースで記載します。 児童手当の受給者は、父または母のどちらかを任意で選択できるわけではありません。原則として、家庭の中で「生計を維持する程度が高い人」、つまり「所得の高い人」が受給者になります。例えば父が会社員で母が専業主婦の場合は、父が受給者になるということです。 父と母が共働きで所得が同じくらいの場合は、次の要素も考慮して総合的に判断します。 ・父母の収入の状況(恒常的に収入が多い人) ・子どもに係る家族手当の状況(父母のどちらに支払われているか) ・住民税等の扶養控除の適用状況(父母のどちらの被扶養者になっているか) ・健康保険の適用状況(父母のどちらの扶養になっているか) ・住民票上の扱い(父母のどちらが世帯主になっているか) いずれにしても、子どもの生計を維持することに、より深く関わるほうが受給者となります。家族間の合意があったとしても、受給者を任意に決めることはできません。