スタンフォード大学で、周囲の期待に押しつぶされそうな生徒を救った授業
---------- 全米を代表するエリート大学の学生たちが、死を身近に感じるレッスンを受けることで、自らも語り、そして変容し成長していく。実際の感動の授業を再現。 スティーブン・マーフィ重松氏は、スタンフォード大学でマインドフルネスやEQでグローバルスキルや多様性を高める専門家として知られる。そんな著者の『スタンフォード大学 いのちと死の授業』から、すべての年代の人々へ向けて「よりよい生き方」へのガイドとなり得る章をご紹介します。 ---------- スタンフォード大学の学生が気づいた人生最良の瞬間
「いのちの授業」が生徒たちに与えたもの
授業は終わりました。私たちは互いに別れを告げます。 プレゼンテーションの後、これまでの授業の振り返りをみんなでシェアしました。そのいくつかを紹介しましょう。 ---------- ジェローム 死への意識を持つことで、私は日常の小さな出来事に感謝することができるようになりました。いままでは見過ごしてきた日常のことを心をこめて、注意深く行う意識が高まったと感じます。 卒業後、何か偉業を成し遂げなければならないと思い、多くのプレッシャーを感じていました。しかしこのクラスは、人生の使命は何かを理解させてくれました。両親は私にオバマ大統領のようになってほしいと望んでいますが、私は金持ちになりたいわけでも有名人になりたいわけでも権力を持ちたいわけでもありません。両親を愛していますが、彼らの幸せのためだけに人生を生きる必要はないのです。 死を感じることで、私は本当にやりたいことできることをする勇気が必要であることを思い出すことができます。私たちが限られた時間しか生きられないという現実を考えると、自分で本当に重要だと考える仕事をすることを決意しました。私は南シカゴの学校で教師になり、教育で成功したい子供たちのロールモデルになりたいと思っています。両親は私の選択に失望するかもしれませんが、若い人々が学ぶことを手助けする以上に重要な仕事はないと信じています。 ---------- エリカ 授業を通して、スタンフォードには私と同じような経験を共有し共感できる他の学生がいることを学びました。他のクラスメートも言っていたように、私にとってこのクラスは、教授やクラスメートと意味のある会話をした初めてのクラスになりました。 私がここで学んだいちばん大きなことは、人生は短いので、時折立ち止まって周りのものを楽しむ必要があるということです。つねに生産的なことをしている必要はないのです。ときには立ち止まり、日常の小さなこと、友だちや家族と楽しむ時間を意識してつくろうと思います。 このクラスが終わった今、私自身、これから社会に出て、同じようなコミュニティを築くことができればと考えています。卒業後、私は他のNPOや政府機関と協力し、地球環境保全の活動をする組織に参加する予定です。