日本郵政、JR東日本とベンチャーが組む「物流チェーン改革」の狙い…全国初「ゆうパック+新幹線」で福島の桃を宅配
日本郵政グループと福島のベンチャー・陽と人(ひとびと)が、JR東日本グループとタッグを組み、業界の垣根を超えた物流サプライチェーンを構築する実証に乗り出す。6月5日、公表した。 【全画像をみる】日本郵政、JR東日本とベンチャーが組む「物流チェーン改革」の狙い…全国初「ゆうパック+新幹線」で福島の桃を宅配 物流・農業分野には、物流2024年問題や地球温暖化などさまざまな課題がある。その解決の軸として、今回選んだ作物は「桃」だ。一つの商品を起点に、社会・環境課題の解決と経済の循環を両立させるビジネスモデルになるか、注目される。
「桃」を軸に大手物流は何をするのか
実証では、日本郵政グループの「ゆうパック」と、JR東日本グループが展開する新幹線を使った荷物輸送サービス「はこビュン」を組み合わせ、陽と人の地元・福島県産の桃を数量限定で販売する。 配送対象地域は、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県の1都7県。6月10日から8月16日まで注文を受け付け、7月16日から順次発送する。 新幹線を活用した配送は過去に実施したこともあるが、通常のオペレーションと異なるためコストが高く、期間限定のイベントなどに限られていた。 今回の実証では、郵便局と新幹線の接続を含め恒常的なオペレーションとして組み込むことを想定。陽と人がこれまで、他社の宅配便を使って販売してきた桃と同等の価格で提供する。
きっかけは郵政の社会課題解決型プロジェクト
今回の実証は、日本郵政グループの社会課題解決型プロジェクト「ローカル共創イニシアティブ(LCI)」から生まれた。 LCIの目的は、全国各地の課題解決をサポートすること。日本郵政の若手・中堅社員が地方のソーシャルベンチャー・自治体に2年間出向し、現地で生活しながら、ともに新たなビジネスの創出を目指している。 2022年度にスタートし、これまでに計16人の社員が全国11道県13地域の協業パートナーのもとで、新たな仕組みづくりに取り組んできた。 協業パートナーの陽と人は、福島県北部の国見町を拠点に、持続可能な農業を目指す農家のサポートや、廃棄される柿の皮を使ったフェムケア商品の開発・販売などを手がけている。事業成長と社会課題解決の両立を目指す「ゼブラ企業」として名の知れた存在だ。