振り返るとコーチがいた…「スムージー激走事件」に記者も爆笑 誰からも愛されるフィギュアスケートの世界女王、坂本花織の素顔
これほど親しみやすい世界女王もいないだろう。フィギュアスケートで世界選手権2連覇中の坂本花織(シスメックス)は、競技での実績はさることながら、トーク力、コメント力も秀逸。脇の甘さがにじみ出るエピソードにも事欠かず、取材現場では必ずと言っていいほど笑いが起きる。ファン、仲間、コーチ、報道関係者…。誰からも愛される23歳の関西人スケーターの素顔とは―。(共同通信=藤原慎也) ※記者が音声でも詳しく解説しています。各種ポッドキャストアプリで共同通信Podcast #45【きくリポ】で検索してお聴きください。 ▽「興奮してしばらく動けへんなった」羽生結弦さんの結婚報道 強い台風7号が日本列島に迫っていた8月13日。木下カンセーアイスアリーナ(大津市)で今季初戦に臨んだ坂本と雑談しようと、観客席で声をかけた。アスリートの中には報道陣と距離を置いたり、競技以外のトピックには乗ってこなかったりする選手もいるが、坂本は違う。この日話題に上がったのは羽生結弦さんの結婚。フィギュアスケート界どころか、日本全国、世界まで衝撃を与えたニュースについて記者が話を振ると「めっちゃ驚いた。何にも知らんかった」と目を丸くし、声のトーンも上がった。
羽生さんが自身の公式交流サイト(SNS)で「入籍する運びとなりました」と報告した8月4日の夜、坂本は盛岡市でのアイスショー「THE ICE」の出演を終え、地元神戸への帰宅途中だったという。ふとスマートフォンを見ると、画面には寝耳に水のニュース。「自宅の最寄りまで着いたのに(お相手は)『誰?誰?』って興奮してしばらく動けへんなった」。あたふたした様子を、まるで情景が浮かぶように描写してくれた。 ▽厳禁のスムージー購入がばれて逃走、「必死こいて演技」 試合会場では気軽に子どもたちとの写真撮影に応じ、顔見知りの記者を見かけると手を振ってくれる。競技について熱く、真面目に語ったかと思えば、ジョークを交えて惜しげもなく爆笑エピソードを披露してしまうことも。そんな人情味あふれる坂本のトークで腹を抱えて笑ったのが「スムージー激走事件」だった。 時は2018年1月。坂本は四大陸選手権出場のため、台湾にいた。1カ月後に、自身初の大舞台となる平昌冬季五輪が控える重要な時期。6歳から指導を受けてきた中野園子コーチから、体重管理のため甘いものは厳禁と指示されていた。しかし、大会開幕の前日「中野先生と食事後、ホテルに戻るふりをしてデパートでスムージーを購入した」