小学生の子どもにカギを持たせる時、気をつけるべきことは? 防犯の専門家に聞きました
新一年生として小学校に入学した子どもを持つ保護者の方は、子どもにカギを持たせることに不安を抱えている方も少なくないのではないかと思います。 【漫画を読む】思わずゾッとする、鍵っ子小学生の実体験エピソード 今回は、イラストレーターのしばたまさんがフォロワーさんの体験談を描いた『心ゆさぶる本当の話』の中から、小学生の帰宅時の危険を描いたエピソードををご紹介します。なにげない日常に潜むゾッとするような危険を描いたこのエピソードは、大きな反響を呼んでいます。 また防犯の専門家・ALSOKのHOME ALSOK事業部の松田博充課長に、鍵っ子の小学生がどんなことに気をつけたらいいのか、お話を伺いました。 ■『心ゆさぶる本当の話』「インターホン編」より 体験者さんは小学生の頃、両親が共働きで鍵っ子でした。普段は学校が終わって帰宅する時は自分で鍵をあけていたそうです。 事件が起こったその日は、たまたまお母さんの仕事が休みで家にいる日だったそうです。でかけるときに「今日はお母さんお家にいるからね~」と送り出してくれました。 帰宅してインターホンを鳴らしてお母さんを呼ぶと、ドアを開けたお母さんは体験者さんの手を強くひっぱって中に引き込みました……。 お母さんは「何もなかった!? なんともない!? 大丈夫!!?」と必死の形相。 体験者さんは「お母さんどうしたの?急に引っ張って…」「なんともないよ?」とキョトン。 お母さんは体験者さんを抱きしめて「良かった…本当に良かった…」と繰り返しました。 ふと窓の外を見てみると、大家さんと管理人さんが集まって「何時頃ですか?」「14時すぎに…」「住人のためにも」と真剣に話をしていました。 体験者さんのお母さんは、「これからはね、家に誰もいないとわかっていてもピンポンしてね」「誰もいなくても、家に入るときは『ただいま!』って言うのよ」と真剣に話して聞かせました。体験者さんはなぜだかわからないまま、しばらくお母さんの言うとおりにしていました。 それから1年ほどたって、ふと気になった体験者さんはお母さんに聞きました。 「帰る時にインターホン鳴らしてるけど、あれ何で?」 するとお母さんは「えっ!えっ!?」「あなたあの日のこと何もわかってなかったの!?」と驚きます。 そしてこう言うのでした。 「あの日、あなたの後ろには知らない男が立っていたのよ…」 たまたま母親が在宅の時だったので事なきを得た体験者さんでしたが、いつものように仕事で不在だったら…。そう思うとゾッとしますね。 小学生にカギを持たせるときに気をつけるべきことはなんでしょうか。防犯の専門家、ALSOKのHOME ALSOK事業部の松田博充課長にお話を伺いました。 ■子どもにカギを持たせるときに気をつけるべきことは? ──子どもが登下校時に危険な目に合わないためにできる予防策はありますか? 松田さん:ALSOKでは、家に帰るまでの対策を「いいゆだな」という独自の覚え言葉で教えています。 「い」……いえの鍵を見せない 「い」……いえのまわりをよく見る 「ゆ」……ゆうびんポストをチェック 「だ」……だれもいなくても「ただいま!」 「な」……なかに入ってすぐ戸締り 郵便ポストをチェックするのは、郵便物を溜め込まないようにするためです。ポストにものが溜まっていると留守がちな家だと思われたり、郵便物を盗まれて個人情報を知られるリスクがあります。また誰もいなくても家に誰かいるように見せかけるため、大きな声で「ただいま」と言うこと、家の中に入ったらすぐに戸締まりすることが大切です。 ──お子さんにカギを持たせているご家庭も多いと思います。子どもにカギを持たせる時はどこにどのようにつけておくのが良いでしょうか? 松田さん:さきほどの「いえの鍵を見せない」ですね。外から見える所への収納は、これから留守番をすることが周囲に分かってしまいます。そのため、ランドセルの内ポケットにリールストラップなどで繋いで収納するなど、紛失や窃盗防止にも努めると良いでしょう。 ──カギをもたせた子どもが帰宅して解錠する時、子どもに教えておくべきポイントがあれば教えてください。 松田さん:これは「いえのまわりをよく見る」です。家に入る前には、近くに人が隠れていないか、ついてきていないかをチェックしましょう。オートロックやスマートキーなどの暗証番号は、無意識に番号を口に出してしまうことがありますので、注意しましょう。暗証番号にしても指紋認証でも、押し込みをされる可能性はありますので、やはり周囲の様子を注意深く観察して、安全を確認することが重要です。 ──仕事の都合で親御さんが小学校の登校時間より早く家を出ないといけなかったり、お子さんが帰宅後一人でお留守番の時間が発生してしまう場合もあるかもしれません。親子でどんなことに注意しておけばいいでしょうか? 松田さん:さきほどの「いいゆだな」を守って登下校しましょう。また、お留守番中に災害がおきた場合に備えて、家具の転倒等を防ぐ対策をしたり、子どもと避難場所・連絡手段などをあらかじめ共有しておくことが重要です。 取材=レタスクラブ編集部MM/文=レタスユキ