ウルトラバルク、日本船主と新造用船15隻。日本法人発足、貨物営業を強化
デンマークの不定期船大手ウルトラバルク(本社・コペンハーゲン)は東京都内で14日に開いた業績説明会で現在、日本船主と2024―26年竣工予定の新造バルカー15隻の長期用船契約を結んでいることを明らかにした。昨春時点の8隻から倍近くに増加。さらに1日に日本法人ウルトラバルクジャパン(東京都千代田区)が営業を開始し、ハンス・クリスチャン・オレセンCEO(最高経営責任者)は「日本のカーゴクライアントに寄り添ったサービスを展開する」方針を強調した。 ウルトラバルクは今治市(愛媛県)で12日、東京で14日に業績説明会を開催。今治では船主や造船所中心に60人、東京では金融機関や商社、ブローカー中心に約200人が参加した。 1日に稼働を開始した日本法人ウルトラバルクジャパンは貨物営業を担当し、日本の海運企業出身の岡崎弘朗氏がチャータリングエグゼクティブに就任した。 ウルトラバルクはハンディサイズからカムサマックスまでのバルカーと多目的船を合わせて常時170―200隻を運航している。 投入契約は航海用船契約が8割、定期貸船(TCアウト)が2割。オレセン氏は「貨物の獲得に力を入れているため、クオリティーの高い船を運航する必要があり、日本の造船所、船主から高品質の船を提供してもらいたい」と要望。 昨年から進めているアンモニア燃料バルカーの新造計画については「デザインに時間を要し、スケジュールが少し遅れているが、数週間のうちに造船所へのアプローチを開始し、2―3隻を建造したい」と述べた。 ■納期27年以降も 日本船主から新造用船する15隻の内訳は、ハンディサイズ6隻、スープラマックス6隻、カムサマックス1隻、多目的船2隻。 一方、既存船隊の長期用船は29隻で、うち日本船主からの用船が8割を占める。このうち日本のパートナーと2隻を共有している。 昨年3月時点では長期用船43隻を確保していたが、契約満了に伴い減少。オレセン氏は「(長期用船は)40隻程度が適正規模と考えており、そこを目指して、引き続き納期27年以降の新造船案件に取り組んでいく」方針を示した。 長期用船の平均期間は6年プラス延長オプション数年。デンマークのトン数税制を考慮し、基本的にパーチェスオプション(PO、購入選択権)を付けている。 このほかグループ会社のウルトラタンクがケミカル船20―25隻を運航し、「日本のパートナーから14隻を新造用船している」(オレセン氏)という。 ■減税効果が縮小 ウルトラバルクの23年業績はEBITDA(金利・税引き・償却前利益)が前年比46%減の1億3990万ドル(約207億円)、純利益が69%減の5334万ドル(約79億円)となった。減益要因として昨秋までのドライ市況低迷に加えて、長期用船の減少に伴いPO確保によるトン数税制の減税効果が縮小したことを挙げた。 ただ、オレセン氏は「十分な利益を確保できた」と語り、自己資本比率39・5%など財務の健全性を強調した。
日本海事新聞社