銀座で高級なカニを低価格で提供 元中国人留学生、11年で夢実現
150種類あるメニューの中で人気ベスト5
オープンから約1カ月。150種類のビュッフェメニューの人気ランキングも固まりつつあるようだ。現在のベスト5を聞いた。1位と2位は同率で、タラバガニと和牛焼き肉。3位は北京ダックで、4位は江戸前寿司。5位は海鮮浜焼き。次点はデザート&フルーツ。予想通り、高級食材料理に支持が集まった。 逆に下位だったのはサラダ。家でも食べられる料理でおなかを膨らませたくないというのがお客さんの本音だろう。 気になる価格は、時間100分制で、平日は大人9800円(以下、価格は全て税込み)、4~12歳まで4900円、土日祝日は大人1万2000円、4~12歳まで6000円。幼児(0~3歳)は無料。 現在、お客さんの比率は日本人が9割、訪日外国人(インバウンド)が1割ほど。同じビルにドン・キホーテや肉のハナマサが入っているため、買い物のついでに立ち寄りやすい。さらに観光バスが止まる場所に近いため、今後はツアー客の需要も期待できる。 現在、あらゆる食材が高騰しており、どこの飲食店も仕入れ値をいかに抑えるか苦心している。そんな中、どのようにして高級海鮮食材を目玉にしたビュッフェを始められたのか。仕入れはどのように工夫しているのか。店を運営するFANG DREAM COMPANYの孫芳(そん・ふぁん)代表に話を聞いた。
日本に留学し、11年かけ、念願の飲食店を開業
もともとは飲食関係ではない職に就いていた。その仕事を辞めてまでも自分の店をオープンさせようとしたきっかけは何だったのか。 孫芳さん(以下、孫氏):理由は3つある。1つ目は、両親が大衆食堂をやっていたから。小さなお店だったが、常に近所の人たちがたくさん集まり、にぎやかでたくさんの笑みがあふれていた。毎日、一生懸命働いていた両親の姿も見ていたので、飲食店には慣れ親しんでいた。 2つ目は留学中、日本の飲食店でアルバイトをしていたとき、一緒に働いていた本部長が優して、丁寧に仕事を教えてくれたから。自分が同じ立場になったら、そんな大人になりたいと思った。 最後は就職後、取引先との会食で銀座の高級中華料理店に行く機会が度々あったことだ。味はすばらしかったが、値段の高さが気になったから。「同じレベルの食材を使ったおいしい高級中華料理を低価格で提供できる店をつくれないか」という気持ちが強くなり、自分の店を持ちたいと思うようになった。 きっかけはいくつかあった。いつごろ出店したのか。 孫氏:日本の大学を卒業後、もっと学びたいと思い、別の大学に編入したり、日本語学校や専門学校にも通ったりした。約7年間、学校で勉強する合間に飲食店でアルバイトをした。その後、メディア関係の会社で約4年間、働いた。節約して稼いだお金を貯金し、さらに親からの支援も受け、来日から11年たった14年1月、1号店の「銀座芳園」をオープンした。 1店舗目の開店費用はどのくらいかかったか。 孫氏:30坪くらいのお店だったが、銀座の土地だったため家賃が高く、保証金が850万円もかかった。内装にもこだわったので、合計3000万円ほどかかった。 かなりお金をかけた。店はすぐ軌道に乗ったか。 孫氏:最初の半年間は苦労したが、“リーズナブルな高級中華料理”として口コミで広がり、メディアにも取り上げられ、一気に認知が広がった。 現在15店舗あるが、店舗拡大は順調だったのか。 孫氏:実は、新型コロナウイルス禍前までは4店舗だったが、その後はお客様が全く来なくなった。また、スタッフも新型コロナを懸念して出勤しなくなり、2店舗閉店した。その期間はとてもつらかった。